人事労務Q&A

人事労務に関してお客様からよく寄せられるご質問と回答を月1回ご紹介します。

2019年6月
不採用者の応募書類の保管について
Q

採用活動で入手した履歴書等の応募書類の取扱いについて、お伺いします。
わが社では、採用した社員の応募書類は、入社承諾書等の採用時に提出される書類と併せて退職後3年まで保管することとしており、不採用者の応募書類もそれに倣い、採用活動終了から3年間保管して廃棄しています。この度、この取り扱いについて、「不採用者の書類であれば、保管する必要はないのではないか」、また「廃棄せず、本人に返却すべきなのではないか」という声が社内で上がりました。つきましては、不採用者の応募書類を一定期間保管する必要はないのか、また、会社から本人宛に返却しなければならないのか、法定のルールがあればご教示頂けますようお願い致します。

A

会社と雇用契約を結ぶことがない不採用者より提出された応募書類は、労働基準法で保存すべきと定められている書類にはあたりません。一方で、結果的に採用に至らなかった応募書類であっても、個人の氏名を始めとした個人情報が記載されています。個人情報保護法には保管期限や、個人への返却義務までは定められていませんが、採用活動終了後は遅滞なく情報を破棄する等の対応をとることが望ましいと考えられます。

<使用者が保存すべき書類について>
労働基準法109条では、使用者が保存すべき書類を「労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類」と定めていますが、雇用関係にない者の書類はこれには含まれていません。

尚、同条ではそれぞれの書類は、以下を起算日として3年間の保存を義務付けています。
・労働者名簿:労働者の死亡、退職又は解雇の日
・賃金台帳:最後の記入をした日
・雇入又は退職(解雇を含む)に関する書類:労働者の退職または死亡の日
・災害補償に関する書類:災害補償を終わった日
・賃金その他労働関係に関する重要な書類:その完結の日

<個人情報の破棄について>

個人情報保護法により、個人情報は「利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない」と定められています。従い、選考を目的に収集した採用応募書類は、採用活動の終了により利用する必要がなくなったと考えられ、その時点で廃棄もしくは本人へ返却することが適切であると言えます。


<注意事項>

選考の結果、不採用となった方の応募書類を本人へ返却しなければならないとする法令上の定めはございません。然しながら、不採用者や応募辞退者等、採用に至らなかった応募者が、応募書類の返却を望むことも考えられます。応募者から書類返却の希望があった場合に、会社が既に書類を廃棄していて返却に応じられないようなケースでは、トラブルに発展する可能性も考えられますので、応募書類を一括廃棄される場合は、不採用の連絡を行う際に「書類は責任をもって会社が廃棄する」旨を通知することをお勧めします。


※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

【バックナンバー】
2019年

open

2019年5月
フレックスタイム制の清算期間の延長について

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Q

わが社では、清算期間を1ヶ月とするフレックスタイム制を導入しているのですが、月ごとの業務繁閑の波が激しく、繁忙期には時間外労働を36協定の上限内に抑えることに苦労するほどの業務量となるのに対し、閑散期には時間外労働がほぼ不要な状況となっています。2019年4月から清算期間の上限を3ヶ月まで延長することが認められたと聞いています。わが社でも清算期間を3ヶ月に見直すことで、繁忙期と閑散期で労働時間を調整し、年間を通した時間外労働の削減につなげられるのではと考えていますが、検討にあたっての注意事項等あれば、ご教示頂けますようお願い致します。

A

フレックスタイム制における清算期間を3ヶ月に延長することで、月を跨いだ労働時間の調整が可能となりますので、貴社のように業務量が1ヶ月を超えて変動するような会社では、閑散期に実労働時間を短縮し、清算期間を通して時間外労働の削減が期待できます(特定の月の実労働時間が所定労働時間を満たさない場合であっても欠勤とせず、清算期間内での調整が可能となります)。

但し、1ヶ月を超える清算期間を設定する場合であっても、時間外労働の管理は清算期間ごとだけでなく、月ごとでも必要であることや、フレックスタイム制に関する労使協定について、作成だけでなく届出も義務となること等、新たに手間が生じる面もございます。また、フレックスタイム制を導入している場合においても、改正労働基準法上の時間外労働の上限規制は適用されます。

<フレックスタイム制の基本事項>
フレックスタイム制は、一定の清算期間について予め総労働時間を定め、その範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻を個々の裁量で決定できる制度です。
フレックスタイム制を適用した場合、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えても、ただちに時間外労働とはならず、清算期間における法定労働時間の総枠を超えて、実際に労働した時間数が時間外労働となります。その為、業務の繁閑に応じて労働時間の調整を行うことが可能になり、従業員の生産性向上や時間外労働の削減が期待されます。清算期間の上限は、これまで「1ヶ月」とされていましたが、法改正により「3ヶ月」に延長されたことで、月を跨いだ労働時間の調整が可能になっています。
(※尚、上記の「時間外労働」とは法定労働時間を超えて行われた残業時間を指します。会社が法定労働時間とは異なる所定労働時間を定めている場合、所定労働時間を超え、法定労働時間の範囲で行われた残業に対する割増賃金の取扱いは会社の定めに従うこととなります)

<清算期間が1ヶ月を超える場合の留意事項>

フレックスタイム制における清算期間が1ヶ月を超える場合には、以下の時間数が時間外労働としてカウントされます。
① 清算期間における、法定労働時間の総枠を超えた労働時間
② 1ヶ月ごとに週平均50時間を超えて労働した時間

②は1ヶ月単位で清算しなければならず、①の時間数には含めずに別管理する必要があります。また、深夜労働や法定休日勤務も1ヶ月単位での時間管理が必要です。
加えて、2019年4月より施行された(中小企業については2020年4月より適用)改正労働基準法による時間外労働の上限(法定休日勤務を含めて1ヶ月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以下の規制)は、フレックスタイム制においても適用されますので、時間外労働・休日労働の集計方法についてはご注意ください(厚労省より公表されているリーフレットをご確認下さい)。


また、清算期間の長さによらず、フレックスタイム制の導入には以下(a)(b)の2点が手続きとして必要となりますが、清算期間が1ヶ月を超える場合には(c)が追加で必要となります。
(a) 就業規則等への規定
(b) 労使協定で所定の事項を定めること
(c) 所轄労働基準監督署長宛の労使協定の届出(清算期間が1ヶ月を超える場合のみ)


<補足事項>

フレックスタイム制における清算期間が1ヶ月を超えて設定された場合、本件のように業務量が1ヶ月を超えて変動するようなケースだけでなく、従業員の裁量で月を跨いだ業務量を調整できるということであれば、社員の生活上の都合に合わせた繁閑調節ができ、働きやすさの向上、ワークライフバランスの改善がメリットとして考えられます。一方で、時間外労働の管理の煩雑さや、最大3ヶ月の長期間にわたる労働時間配分を社員の自主性に委ねることで、かえって時間外労働が増加してしまうようなリスクも考えられますので、それらも踏まえた十分な検討が重要となります。


=参考=
厚労省WEBサイト内:
フレックスタイム制のわかりやすい解説
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf


※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2019年4月
同一労働同一賃金への対応について

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Q

パートタイム労働法(※1)の改正により、2020年4月1日(中小企業の場合は2021年4月1日)から、同一企業内において、正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されるとのことで、対応を検討しています。現在、弊社では正社員と有期契約社員を雇用しており、両者間の待遇差の主たるものは「通勤手当」の支給有無です。弊社の正社員と有期契約社員では、「従事する業務の内容・責任の程度」や「配置の変更範囲(正社員のみ転居を伴う異動の可能性がある)」が異なるため、有期契約社員に対して「通勤手当」を支給しないことは合理的な待遇差であり、法令上問題が無いと認識しておりますが、相違ないでしょうか。

A

2018年6月1日の最高裁判決(※2)で、通勤に要する交通費を補填する趣旨で支給される「通勤手当」について、正社員と非正規社員の間に待遇差を設けることは不合理であると判断されていますので、有期契約社員に対しても、正社員と同条件で「通勤手当」を支給するといった対応が必要になると考えられます。尚、有期契約社員の所定勤務日数が正社員よりも少ないような場合に、有期契約社員の「通勤手当」が、同一通勤経路の正社員よりも両者の所定勤務日数の差に応じて少額であることは、合理的な待遇差であると考えられます。

<留意事項>
現行法においても、労働契約法第20条に、『有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と無期労働契約を締結している労働者の労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、職務の内容等の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない』旨が定められており、貴社の現状(正社員に支給している「通勤手当」を有期契約社員に支給していない)は、この労働契約法第20条違反にあたると考えられます。労働契約法は労使の個別の合意を原則としている性質上、労働基準監督署による行政指導等はありませんが、民法上、当該労働契約が無効になることや、不合理な待遇差が認められた手当等について、非正規社員から、本来支給すべきであった手当相当額の損害賠償請求が行われる等の恐れがありますのでご留意ください。

<その他の対応>

「通勤手当」の他にも、正社員と有期契約社員の間に待遇差がある場合は、以下の手順でご確認、ご対応頂くことをお勧め致します。
① 正社員と有期契約社員で待遇差を設けている項目、及び待遇差を設けている理由の確認
② その待遇差が「合理的であること」を説明できるかを検証
③ その待遇差が「合理的であること」が説明できない項目については、待遇差を是正する。宜しければ、厚労省が発行している「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」(※3)もご参照ください。


=参考=
(※1)法改正に伴い、パートタイム労働法の名称は「パートタイム・有期雇用労働法」に変更となります。

(※2) 2018年6月1日の最高裁判決(ハマキョウレックス事件)
運送会社で働く契約社員(有期雇用労働者)に対して月額3,000円の「通勤手当」が支給されていたが、同契約社員と交通手段及び通勤距離が同じ正社員に対しては月額5,000円を支給すると定められていたことについて、正社員と非正規社員の間で、通勤に要する交通費を補填する趣旨で支給される「通勤手当」に待遇差を設けることは不合理であり、労働契約法20条に違反すると判断されました。
【判決理由】
  労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に必要な費用が異なるわけではない。
  正社員と有期契約社員の職務内容・配置の変更範囲が異なることは、通勤に必要な費用の多寡に直接関係はない。


(※3)「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」
厚労省WEBサイト内: https://www.mhlw.go.jp/content/000468444.pdf


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2019年3月
勤務間インターバル制度の導入

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Q

2019年4月の法改正により、「勤務間インターバル制度」の導入が企業の努力義務になると聞きました。「勤務間インターバル制度」が前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定の休息時間を設ける制度であることは理解しているのですが、制度導入に向け、企業としてどのような検討が必要となるのでしょうか。ご教示をお願いします。

A

ご認識頂いている通り、「勤務間インターバル制度」の導入は、あくまでも企業の努力義務とされておりますので、19年4月時点で本制度を導入していなくとも法令違反とはなりません。ですが、同制度の導入は長時間労働の改善や労働者の健康維持に向けた睡眠時間の確保等、様々なメリットがあるとされていますので、自社の実態に合わせ、同制度の対象者、インターバル時間数、定められたインターバル時間数の確保によって翌日の出勤時刻が所定の始業時刻を過ぎてしまう場合の勤怠の取り扱い等について、以下を参考にご検討ください。


<制度の対象者>

事業所や職種を特定する、モデル部門を指定して先行実施する等、最初は対象者を限定して導入することも考えられます。また、職務内容の違いにより、全社員共通のルールで導入することが難しい場合には、部署ごとにインターバル時間数を設定するといったことも可能です。


<インターバル時間数の目安>

既に「勤務間インターバル制度」が導入されているEU諸国では、24時間ごとに最低でも連続「11時間」の休息時間を設けることが義務付けられています。それに倣い「11時間」に設定することも考えられますが、(※)厚生労働省のWEBサイト内では、同制度の導入事例としてインターバル時間数を「9時間(=導入事例の中では最短)」に設定している企業が紹介されており、この「9時間」~「11時間」がインターバル時間数の目安になるかと思います。もちろん「11時間超」で設定することでも問題ありませんが、自社の実態に合わせて現実的に確保可能なインターバル時間数を設定することをお勧め致します。


<勤怠の取り扱い>

終業時刻が遅くなり、定められたインターバル時間数を確保すると翌日の出勤時刻が所定の始業時刻を過ぎてしまう場合の取り扱いとしては、以下のようなものが考えられます。
① 出勤時間が所定の始業時刻を過ぎ、1日の勤務時間が所定労働時間よりも短くなった場合でも、その時間を勤務したと見做し給与を支給する
② 時差出勤制度を利用し、翌日の始業・終業時刻をともに繰り下げる
③ フレックスタイム制度を利用し、翌日のフレキシブルタイム内で始業時刻を繰り下げる
④ 労働者に時間単位の年次有給休暇を取得してもらう
⑤ 遅れた時間分は欠勤扱いにするが、懲罰やマイナス評価の対象にはしない
尚、②の方法を取る場合は就業規則に時差出勤が出来る旨の記載(=時差出勤制度の導入)が、③の方法を取る場合には、就業規則で始業・始業時刻の決定を従業員に委ねる旨の記載及び労使協定の締結が、④の方法を取る場合には、就業規則年次有給休暇を時間単位で取得できる旨の記載及び労使協定の締結が必要になりますのでご留意ください。
また、上述のように翌日の出勤時刻を後ろ倒しにするだけではなく、「翌日の出勤時刻が後ろ倒しになるような残業を極力控えるように社内通知する」ことで、終業時刻が遅くならないように注意喚起することも考えられます。


=参考=
(※)厚労省 WEBサイト内
<勤務間インターバル制度の導入事例>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/case_study.html


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2019年2月
「国民の祝日」及び「国民の休日」の増加の影響について

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Q

弊社の就業規則では、年間休日数を120日と定め、かつ、①日曜日②土曜日③「国民の祝日に関する法律」に定める休日④年末年始(12月29日~1月3日)を休日と定めています。2019年度(2019年4月~2020年3月)については、新天皇が即位される影響で「国民の祝日」及び「国民の休日」が増えることから、上記①~④に該当する日の全てを休日とすると年間休日数が120日を超えてしまい、就業規則内で矛盾が生じている状態です。
このような場合、「年間休日数120日」と「上記①~④に該当する日を休日とする」のどちらの規定が優先されるのでしょうか。ご教示をお願いします。

※上記①~④の休日数の合計が120日に満たない年度については、別途、年間休日数が120日になるように休日の指定を行っています。

A

就業規則内の規定間で矛盾が生じている場合は、原則として、労働者に有利な規定が適用されることとなりますので、貴社の場合も年間休日数が多い(=労働者に有利な)「上記①~④に該当する日を休日とする」の規定が適用されます。また、年間休日数が増加することにより、年間所定労働時間が減って賃金の時間単価が上昇する等、実務面にもいくつか影響が生じますのでご留意ください。
尚、就業規則内で矛盾が生じている状態は、決して望ましい状態とは言えませんので、矛盾が生じない記載に変更することをお勧めします。

<就業規則の効果及び内容の変更>
2019年度における実際の年間休日数が就業規則で定める120日を超えたとしても、これは労働者にとって有利な取り扱いとなるので問題ありません。一方で、現状の就業規則の記載のままで実際の年間休日数を120日とすることは、就業規則の「上記①~④に該当する日を休日とする」を適用した場合の年間休日数を下回る(=労働者にとって不利な取り扱いとなる)ため出来ません。
仮に2019年度の年間休日数を120日のままにしたいということであれば、就業規則の内容を「年間休日数120日」、
原則として・・・・・上記①~④に該当する日を休日とする」と変更することが考えられます。このような内容ですと、例外的に土日祝日の中で出勤日を設け、年間休日数が120日となるような調整も可能です。但し、当該変更は従業員にとって不利益な変更となりますので、変更に当たっては原則として従業員の同意が必要になります。
※従業員の同意が得られない場合であっても、変更後の就業規則を従業員に周知させ、かつ、就業規則の変更が、従業員の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、変更が認められます。

<時間外勤務手当の時間単価の上昇>

1年の総所定労働時間や1ヶ月当たりの平均所定労働時間に基づき、時間単価を計算している場合、年間休日数が増加すると1年の総所定労働時間及び1ヶ月当たりの平均所定労働時間が減少し、時間外勤務手当の時間単価が上昇する(=1時間当たりに支払われる時間外勤務手当が増加する)ことになりますのでご留意ください。
尚、時間単価の算定基礎となる所定労働時間を毎年固定している会社では、実際の所定労働時間がそれよりも短い年度は、労働者に不利な取り扱いとなりますので、時間単価を実際の所定労働時間に基づいて計算することをお勧め致します。


<その他留意事項>

就業規則で土日祝日の全てを休日と定めている場合、2019年度は4月27日(土)~5月6日(月)までが10連休となります。休日に業務の都合で社員が自宅等で電話対応を行うような場合でも勤務時間として取り扱う必要があります。10連休の間、労働時間管理の対象となる社員がどうしても休日勤務をせざるを得ない状況が発生することが想定されるようでしたら、適切な労働時間管理が行えるように、『休日に自宅等で電話対応を行った場合は、労働時間を記録して上長に報告すること』を社内周知する等の対応が望ましいです。


※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2019年1月
資本金の増資に伴う働き方改革関連法の適用時期の変化

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Q

弊社では現在、2019年4月1日から順次施行される働き方改革関連法への対応を進めています。この度、会社の信用力強化を目的とし、資本金を現在の5,000万円から1億5,000万円に増資することを検討していますが、これにより働き方改革関連法への対応に何か影響がありますでしょうか。ご教示をお願いします。
尚、弊社は、従業員数150名程度(パート・アルバイトを含む)で卸売業に分類されます。

A

貴社の業種・従業員規模・現在の資本金ですと、労働基準法上の「中小企業」に該当しますが、資本金を1億5,000万円に増資すると「中小企業」に該当しなくなります。その場合、「中小企業」に対して適用猶予措置が設定されている働き方改革関連法の一部の法改正について、適用猶予措置を受けることが出来なくなる(=適用時期が早まる)ので、資本金の増資と併せて、前倒しで法改正への対応が必要となります。

<基本事項>
人事労務関連の法的義務は、従業員数のみを基準にして生じるものが多く(「衛生管理者の選任」や「障がい者雇用」等)、資本金の増資によって生じるものはあまり多くありませんが、上述の通り、資本金の増資により労働基準法上の企業区分が「中小企業」に該当しなくなる場合には、働き方改革関連法の一部の法改正について、適用猶予措置を受けることが出来なくなりますので注意が必要です。
中小企業に該当するか否かは、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者数」で判断されます。具体的には、下記の図表1の通り、業種ごとに設定されている(1)と(2)の条件のどちらか一方を満たす場合に「中小企業」に該当することとなります。
また、働き方改革関連法の内、「中小企業」に対して適用猶予措置が設定されている項目は、図表2の通りです。

【図表1】
業種 「中小企業」に該当する条件(下記のいずれかを満たすこと)
(1)
資本金の額または出資の総額
(2)
※常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
上記以外の業種 3億円以下 300人以下

※常時使用する労働者数は、常態として使用される労働者数であり、パートやアルバイトのような雇用形態であっても、臨時的に雇い入れられた場合でなければ、常時使用する労働者数に含む。

【図表2】

法改正内容 施行日
中小企業以外
(大企業)
中小企業
時間外労働の上限規制 2019年4月1日 2020年4月1日
月60時間超の時間外労働に対する割増賃金
(50%以上)の支給
適用済み 2023年4月1日
不合理な待遇差を解消するための規程の整備 2020年4月1日 2021年4月1日
労働者に対する待遇に関する説明義務 2020年4月1日 2021年4月1日

<補足事項>

働き方改革関連法では、「中小企業」に該当するか否かに拠らず、2019年4月1日から様々な法改正が適用されることとなります。中には、『一定日数の年次有給休暇の確実な取得』や『労働時間の適切な把握』等、対応に時間を要するものございますので、お早めに自社の対応方針をご検討頂くことをお勧めします。


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2018年

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2018年12月
執行役員の契約形態について

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Q

昨今、取締役会における意思決定の迅速化や取締役の監督機能の強化を目的として、執行役員制度を導入し、取締役と執行役員で、経営における「監督機能」と「執行機能」を分離している企業が増えていると聞いています。そこで、弊社でも同様の目的から執行役員制度を導入することとしました。現在、制度導入に向け、執行役員の役割や権限、報酬、契約形態等を検討している段階ですが、社内の一部からは、「従業員身分を持たせたまま、執行役員に就任させるのが良いのではないか」との声が挙がっています。役員と聞くと、従業員身分ではないイメージがありますが、従業員身分を持たせたまま、執行役員に就任させることは可能なのでしょうか。ご教示をお願いします。

A

執行役員本人との契約にあたっては、従業員身分を持たせたまま(=雇用契約を維持したまま)、執行役員に就任させることも可能ですし、従業員との雇用契約を解除し、当該執行役員との間に委任契約を締結するような形態をとることも可能です。一般的に前者を「雇用型執行役員」、後者を「委任型執行役員」と呼びます。それぞれの特徴及び主なメリット・デメリットは以下の通りとなりますので、貴社の実態に応じて、執行役員との契約形態についてご検討下さい。


雇用型執行役員
【特徴】
自社の従業員である執行役員の労務提供に対して、賃金を支払う雇用契約を締結する。
当該従業員は、執行役員としての地位を失った後でも、従業員としての地位は失われない。
【メリット】
執行役員としての地位を失った後でも、従業員としての地位が失われないことが、当該執行役員の安心感につながる。
【デメリット】
当該執行役員が期待された成果を上げられない場合でも、契約を解除(解雇)することが難しい。

委任型執行役員
【特徴】
当該執行役員との間に、執行業務の委任契約を締結する。執行役員に就任する際に、会社との雇用契約が解消される。(=従業員としての地位を失う)
【メリット】
当該執行役員が期待された成果を上げられない場合、会社から委任契約を解除することが出来るため、当該執行役員の執行責任者としての意識をより高めることが期待できる。
【デメリット】
執行役員へ就任する際に、会社との雇用契約が解消される為、場合によっては、執行役員への就任をためらってしまう恐れがある。

<留意事項>
税法上では、会社法上の役員に加え、「法人の使用人以外の者で、その法人の経営に従事している者」「同族会社の使用人のうち、一定の要件を満たす特定株主等で、その会社の経営に従事している者」も役員とされています。このように会社法上では役員に該当しないが、税法上では役員に該当する者をみなし役員と呼びます。
執行役員は会社法上の役員には該当しませんが、当該執行役員が取締役会に出席し、会社の意思決定に強い影響力を持っている場合等に、このみなし役員に該当する可能性があります。その場合、雇用型・委任型のいずれであっても、当該執行役員に支払われる報酬が損金算入できないこともありますのでご留意ください。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2018年11月
時間外労働の上限規制について

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Q

労働基準法の改正により、2019年4月から36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられると聞きましたが、弊社では毎年10月1日から1年更新で36協定を締結しているため、2019年4月は、2018年10月に締結した36協定の有効期間内となっています。このような場合、既に締結済みの36協定を破棄し、改正内容に即した36協定を2019年4月から締結し直す必要があるのでしょうか。ご教示をお願いします。

A

既に締結済みの36協定の有効期間に2019年3月31日が含まれている場合、その有効期間の終了日までは改正内容に即した36協定を新たに締結し直す必要はありません。次に締結する36協定から新労働基準法の適用対象となります。また、中小企業については、新労働基準法の適用が2020年4月からとなりますので、自社がいつから適用対象となるかも併せてご確認下さい。

<基本事項>
労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間、週40時間(=法定労働時間)と規定しています。法定労働時間を超えて労働させる場合には、時間外労働の上限を一定の期間ごとに労使協定で締結し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があり、この労使協定を36協定と呼んでいます。
現行法では、臨時的な特別の事情があれば、年間で6ヶ月まで、36協定で定めた1ヶ月あたりの時間外労働の上限を超えて、労使当事者の自主的協議のもと長時間労働とならない範囲内で限度なく時間外労働をさせることができましたが、今回の法改正により、臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合でも、以下の範囲内でしか、時間外労働及び休日労働を行わせることができなくなります。
① 1ヶ月間で時間外労働及び休日労働の合計が100時間未満
② 対象期間中、2ヶ月から6ヶ月のそれぞれの期間における時間外労働及び休日労働の1ヶ月あたりの平均時間が80時間以内
③ 1年間で時間外労働は720時間以内
本改正は、2019年4月(中小企業については、2020年4月)から適用されますが、既に締結済みの36協定の有効期間に2019年3月31日が含まれている場合には、次に締結する36協定から新労働基準法の適用対象となります。

<補足事項>

本改正により、企業には社員の時間外労働・休日労働を最小限にとどめることが求められるのと同時に、社員の時間外労働及び休日労働時間数を正確に把握する必要が生じています。時間外労働の削減のためには、「ノー残業デーの設定」や前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保する「勤務間インターバル制度」の導入、社員の時間外労働及び休日労働時間数を正確に把握するためには、労働時間管理システムの導入等が有効と考えられますので、貴社での導入をご検討下さい。


=参考=
厚労省 WEBサイト内
<36協定の記載例>
https://www.mhlw.go.jp/content/000350328.pdf


<36協定の記載例(特別条項付き)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000350329.pdf

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2018年10月
年5日の年次有給休暇の取得義務について

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Q

2019年4月1日の労働基準法改正によって企業に「年5日の年次有給休暇(以下、年休とする)取得をさせる義務」が生じるとのことですが、これは全社員に対して、期初の段階で年5日の年休の時季指定が必要になるということなのでしょうか。ご教示をお願いします。尚、弊社では、以前から年休の取得率向上に取り組んでいることもあり、概ね全ての社員が年間で5日以上の年休を取得しています。

A

本改正の趣旨は、「労働者が1年の間に必ず5日以上の年休を取得する」ことであるため、労働者が自ら5日以上の年休を取得した場合は、会社からの時季指定は不要となります。
ですので、年休の付与時には会社からの時季指定を行わず、年休付与日から1年が経過する前に年間の年休取得が5日に満たないことが予期される社員に対し、年休の取得を促すもしくは、社員に年休の取得時季の意向を聴取した上で、会社から時季指定を行う等の対応も可能です。

<基本事項>
年次有給休暇は、原則として労働者自らの申出により取得させることとなっていますが、「上司に年休取得を言い出し辛い」「自分が休むことで周りに迷惑が掛かってしまう」等の理由から、その取得率が低いことが社会的に課題とされています。そこで、2019年4月1日から、全ての企業において、年10日以上の年休が付与される労働者に対して、年休の日数のうち年5日については会社が時季を指定して取得させることが義務付けられることとなります。但し、労働者自らの申出により取得した日数や、労使協定で取得時季を定めて計画的に付与(=年次有給休暇の計画的付与制度)した日数については、上記5日から控除することが出来ます。

<補足事項>

本改正により、企業には年次有給休暇管理簿を作成し、常日頃から社員の年休取得状況を確認することで、年間の年休取得が5日に満たないことが予期される社員を早期に発見、年休の取得を促す、もしくは社員に年休の取得時季の意向を聴取した上で、時季指定を行うことが求められます。それだけではなく、社員が年休を取得し易い職場環境を整えることも重要ですので、計画的に年休取得日を割り振ることが出来る「年次有給休暇の計画的付与制度」や年休を1日単位ではなく、1時間や半日単位で取得することが出来る「時間単位・半日単位の年次有給休暇制度」を導入することも併せてご検討ください。
尚、2019年4月1日以降、年10日以上の年休が付与される労働者に対して、年間5日以上の年休を取得させなかった企業は30万円以下の罰金に処せられることとなりますのでご注意ください。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2018年9月
インターンシップの実施における留意点等について

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Q

弊社では、入社前に抱いていた職務へのイメージと入社後の職務内容とのミスマッチを理由に若手社員のモチベーションが低下していることを課題に感じています。そこで、入社前の学生に、弊社の職務内容をより具体的に理解してもらえるよう、インターンシップの実施を検討しているのですが、その企画・実施に当たり留意事項等あればご教示をお願いします。

A

インターンシップの企画・実施に当たっては、その内容等によって、参加学生が労働者に該当する可能性があることに留意が必要です。仮に、参加学生が労働者に該当する場合は、自社で雇用している労働者と同様の取り扱いを行う必要があります。また、自社の採用活動にとって有意義なインターンシップを実施するために、人事部門だけではなく、適宜、現場の社員の協力を仰ぎながら、インターンシップの実施期間・時期や当日のプログラム内容をご検討頂くことをお勧め致します。

<基本事項>
インターンシップとは、「在学中・卒業直後の学生が、自分の選考や将来のキャリアに関連した就業体験を一定期間行うこと」と定義されており、昨今、優秀な人材の確保や、入社前に抱いていた職務へのイメージと入社後の職務内容とのミスマッチの防止等を目的として、学生に向けたインターンシップを実施する企業が増加しています。

<法令上の留意事項>

一口にインターンシップと言っても、その実態から判断して、参加学生が労働者に該当する場合には、最低賃金を上回る賃金の支払いや労働時間管理等、自社で雇用している労働者と同様の取り扱いを行う必要があります。一方で、参加学生が労働者に該当しない場合、当該学生には労災保険が適用されませんので、インターンシップ中の事故への対応等について、予め検討する必要があります。

インターンシップに参加する学生が労働者に該当するか否かの判断基準については、以下のように行政通達がなされています。

「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり、使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者には該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある。」(平成9年9月18日 基発636号)

<インターンシップのプログラム内容例及び企画時の留意事項>

インターンシップ当日のプログラム内容としては、「業界や自社ビジネスに関する説明」「実際のビジネスシーンを想定したケーススタディ及び参加学生に対する社員からのフィードバック」「社員の業務の一部を経験する」「実際に仕事をしている社員に同行・同席する」「職場の見学」等が考えられます。また、参加学生が就職後の仕事内容や職場環境をより具体的に理解することが出来るプログラム内容とするために、企画時から人事部門の社員だけではなく、実際に学生を受け入れ、指導することが想定される部門の社員の協力を仰ぎながら、ご検討頂くことをお勧め致します。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2018年8月
定年再雇用者の無期転換について

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Q

弊社では、60歳で定年を迎えた社員を、65歳の誕生日までを限度として1年更新の有期契約で再雇用していますが、昨今の採用における売り手市場化を受け、後継となる人材の確保に苦戦しているため、もうすぐ65歳になる定年再雇用者を65歳以降も従前と同様の条件で雇用し続けたいと考えています。この場合、65歳の誕生日の翌日からの契約で、有期労働契約が通算して5年を超えるため、対象の社員に無期転換申込権が発生するという理解で宜しいでしょうか。

A

ご認識の通り、有期労働契約が通算して5年を超えるため、対象の社員の方に無期転換申込権が発生します。但し、その方は、貴社で定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者(定年再雇用者)ですので、特例として、「適切な雇用管理に関する計画」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けることで、無期転換申込権が発生しないこととなります。

※1 会社が認定を受ければ、それ以前から再雇用している社員についても、無期転換申込権が発生しないこととなります。但し、既に無期転換申込権を行使している労働者からその権利が消滅することはありませんのでご注意ください。

※2 高年齢者雇用安定法に規定される特殊関係事業主(所謂グループ会社)で定年を迎え、自社で再雇用した社員についても、自社が認定を受けることで無期転換申込権が発生しないこととなります。

<基本事項>
労働契約法改正によって、有期契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより無期雇用に転換できるようになりました。但し、特例として、「適切な雇用管理に関する計画」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主の下で、定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者(定年再雇用者)については、その事業主に定年後引き続いて雇用される期間は、無期転換申込権が発生しません。
上記の認定を受けるためには、「第二種計画認定・変更申請書」を都道府県労働局長に届け出る必要があります。主な認定要件は以下の2点です。
1. 継続雇用の高年齢者に対する適切な雇用管理措置を計画していること
具体的には、高年齢者雇用推進者の選任や職業訓練の実施、健康管理・安全衛生の配慮などの措置の中から1つ以上実施していること。
2. 届け出時点で、高年齢者雇用確保措置を実施していること
具体的には、65歳以上への定年引上げ、もしくは継続雇用制度を導入していること。

<補足事項>

本特例は全ての高年齢労働者に適用される訳ではありません。(所謂グループ会社以外の)他社を定年退職し、その後自社に雇用された労働者及び定年に達しない時点で無期雇用から有期雇用に転換した労働者は、特例の対象にはならず、有期労働契約が通算して5年を超えた時点で無期転換申込権が発生します。

上記のように特例の対象とならない労働者が60歳を過ぎてから無期雇用となった場合、本人が退職を希望する、もしくは自社の規程の解雇事由に該当することがない限り、当該労働者を終身雇用しなければならない可能性もありますのでご注意ください。終身雇用が発生しない運用やルールには、以下のようなものがありますのでご確認ください。

1. 特例の対象とならない労働者の契約期間が通算して5年を超えないように、予め契約期間の上限を5年以内に定める

2. 特例の対象とならない労働者が60歳を過ぎてから無期雇用となった場合の定年を別途定める

=参考=
厚生労働省 WEBサイト内
「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf

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2018年7月
派遣社員の組織単位の異動について

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Q

2015年9月に労働者派遣法が改正され、一人の派遣社員につき同一の組織単位で起用できる期間の上限が3年になったので、弊社でも、今後の派遣社員起用の方針を検討しているところです。現在使用している派遣社員が、経費処理等の複雑な社内ルールにも精通し、円滑に業務をこなしてくれているので、派遣期間が3年を過ぎた後も、別の組織単位に異動させて継続的に使用したいと考えています。具体的には、営業第1部に営業事務の担当として派遣されもうすぐ3年が経とうとしている派遣社員を、同じ事業所内の営業第2部に異動させ、異動前と同じく営業事務の担当として働いて欲しいと考えていますが、この取り扱いで問題はないでしょうか。

<補足情報>
営業第1部と営業第2部は、取り扱う商材は同じですが、その上長、所属員及び取引先が異なります。

A

ご認識の通り、派遣先の事業所における同一の組織単位に、同一の派遣労働者が3年を超えて派遣就業することは出来ません。どうしても当該派遣社員に、同一事業所内で3年を超えて派遣就業してもらいたいということであれば、現在、派遣就業している組織単位から別の組織単位に異動させることが考えられます。別の組織単位に異動させたか否かは、会社の組織構成、異動前後の組織の業務内容や指揮命令系統等によって総合的に判断されることとなります。本件のように異動前後で当該派遣社員の営業事務という職種に変更がなくても、営業第1部と営業第2部で指揮命令系統に変更があること、加えて、営業第2部の取引先が営業第1部と異なることで、これまでとは異なる知識・スキルを求められる業務に携わるのであれば、当該派遣社員のキャリアアップが見込まれることから、別の組織単位に異動したと判断される可能性はあります。ただし、労働者派遣契約において、派遣就業先となる組織単位が定められておりますので、派遣社員を別の組織単位に異動させようとする場合には、事前に派遣元に連絡してください。

<基本事項>
2015年9月に労働者派遣法が改正され、派遣社員が同一の組織単位で働ける期間が3年に制限されました。(ただし、当該派遣社員が派遣元で無期雇用されている場合や、当該派遣社員が60歳以上の場合等には、3年の上限が適用されません。)この規制は、派遣就業を望まない派遣社員がその組織単位の業務に長期間にわたって従事することによって、キャリアアップが図られず、派遣就業に固定化されてしまうことの防止を目的としています。
また、ここで言う「組織単位」とは、平成27年の厚生労働省の省令にて以下のように定義されています。
「名称のいかんを問わず、業務の関連性に基づいて派遣先が設定した労働者の配置の区分であって、配置された労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にあるものが当該労働者の業務の配分及び当該業務に係る労務管理に関して直接の権限を有するもの。」
すなわち、別の組織単位に異動させたか否かは、異動前の組織単位と異動後の組織単位の業務内容や指揮命令系統等の違いによって判断されることとなります。

<補足事項>

労働者派遣契約において定めなければならない事項には、具体的な派遣就業の場所及び組織単位、当該派遣社員が従事する業務内容、指揮命令者が含まれています。つまり、派遣先が派遣元に無断で、派遣社員を別の組織単位に異動させてしまうと、契約違反となるので、注意が必要です。

現在使用している派遣社員を別の組織単位に異動させたい場合には、派遣元企業に連絡し、派遣契約の変更もしくは、再締結の手続きを行ってください。

ただし、組織単位を変更しようとする場合、必ずしも現在使用している派遣社員が、そのまま派遣されるとは限りません。労働者派遣契約において、派遣先からの要請に対して、だれを派遣するかは派遣元が決定する事項とされているため、別の組織単位の業務が現在使用してる派遣社員の希望に合わなければ、他の方が派遣される場合もあります。また、派遣先が特定の派遣社員を指名する行為を派遣先が行わないようにする努力義務が労働者派遣法において課されていますので、ご留意ください。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2018年5月
障がい者の法定雇用率について

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Q

弊社は今まで、障がい者を雇用していなかったのですが、平成30年4月1日から障がい者の法定雇用率が2.2%に引き上げられた関係で、最低1人の障がい者を雇用する必要が生じました。現在、採用活動を進めており、弊社から見て、スキルや経験等は申し分のなさそうな人材から応募がありましたが、その応募者は1日6時間×4日(週所定労働時間24時間)の勤務を希望しています。このような短時間勤務の障がい者を採用した場合でも、障がい者の実雇用率の算定の際に、1人としてカウントしても良いのでしょうか。

A

1週間の所定労働時間が20時間以上、30時間未満の短時間労働者については、障がい者の実雇用率算定の際に、1人をもって「0.5人」とカウントされます。尚、対象者が重度身体障がい者又は重度知的障がい者である場合には、短時間労働者であっても、1人をもって「1.0人」とカウントされます。また、精神障がい者の職場定着を支援することを目的として、平成30年4月1日から、精神障がい者である短時間労働者についても、一定の要件(※)を満たす場合に限り1人をもって「1.0人」とカウントされます。


※ 「雇入れから3年以内、または精神障害者保険福祉手帳取得から3年以内」かつ
  「平成35年3月31日までに、雇入れられ、精神障害者保険福祉手帳を取得」
  (上記を満たしていても「1.0人」としてカウントされない例外があるので注意が必要)

<基本事項>
『障害者の雇用の促進等に関する法律』により、全ての事業主には、その常用労働者数に対して法定雇用率(2.2%)以上の割合で障がい者を雇用する義務があります。常用労働者数が45.5人以上の事業主は、少なくとも1人以上の障がい者を雇用しなければなりません。
『障害者の雇用の促進等に関する法律』における常用労働者とは、1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)を指し、契約社員であっても、1年以上継続して雇用される場合には(見込みがある場合も含む)常用労働者に含まれますのでご注意ください。(『労働安全衛生法』における「常時使用する労働者」と異なり、「常用労働者」に派遣社員は含まれません。)尚、障がい者の実雇用率を算定する際と同様に、常用労働者数を算定する際も、所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者は1人をもって「0.5人」とカウントされます。
法定雇用率が未達成の事業主に対しては、ハローワークから行政指導が行われ、行政指導が行われたにも関わらず、障がい者の雇用状況に改善が見られない場合には、企業名が公表される可能性もあります。
さらに、常用労働者数が100人超の事業主で法定雇用率が未達成の場合には、納付金が課せられます。また、納付金を支払ったとしても、法定雇用率の達成が免除されるわけではなく、上記と同様に、障がい者の雇用状況に改善が見られない場合には、企業名が公表される可能性もありますのでご留意ください。

<本件の場合>

今回、応募してこられた障がい者の方が、重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者(一定の要件を満たす場合に限る)でない場合、その方を採用したとしても、貴社は法定雇用率を満たしていません。その場合、貴社が法定雇用率を満たす為には、週所定労働時間が30時間以上の障がい者を1人採用するか、あるいは、今回の応募者の方に加えて、障がい者である短時間労働者をもう1人採用する必要があります。

また、常用労働者数が45.5人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障がい者の雇用に関する状況をハローワークに報告する義務がありますのでご留意ください。毎年報告時期になると、常用労働者数が45.5人以上の事業所に報告用紙が送付されますので、必要事項を記載の上でハローワークに報告してください。尚、電子申請によって報告することもできます。

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2018年4月
年次有給休暇の時間単位付与制度の導入について

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Q

働き方改革の影響で、弊社でも柔軟な働き方について社内検討を進めています。その中で、一部の社員から「通院や役所での手続き等、1日や半日の年次有給休暇の取得までは要さない短時間の所用に柔軟に対応できるよう、年次有給休暇の時間単位付与の制度(以下、時間単位年休制度)を導入してほしい」との希望が寄せられており、弊社としても前向きに検討しています。そこで、本制度を導入するにあたり、制度の設計や行政への手続きについて注意事項等あればご教示頂けますようお願い致します。

A

時間単位年休制度の導入により、社員が1日や半日の年次有給休暇取得までは要さない短時間の所用に、柔軟に対応することが出来るようになるだけではなく、延いては、年次有給休暇の消化率の向上が期待できます。制度導入にあたっては、労使協定の締結や就業規則の改定が必要です。

<基本事項>
時間単位年休とは、労働者に対し、年に5日を限度として時間単位で年次有給休暇を与えることが出来る制度です。本制度の導入にあたっては、以下の対応が必要です。
労使協定の締結
就業規則の改定
 労使協定で規定する項目は以下の4つになります。
① 時間単位年休の対象労働者の範囲
② 時間単位年休の日数
③ 時間単位年休の1日の時間数
④ 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
また、「休日・休暇に関する事項」は就業規則の絶対的記載事項に当たりますので、年次有給休暇を時間単位で付与する旨及び、労使協定で定める事項に関しても、就業規則に記載しておく必要があります。
上記4項目の具体的な設定方法は以下の通りです。
①制度の対象となる労働者の範囲を定めます。その範囲は、すべての労働者である必要はなく、時間単位年休を取得させることによって、事業の正常な運営が妨げられる場合には、「工場のラインで働く労働者を対象外とする」等、社内の一部社員を適用対象外とすることも可能です。尚、「育児・介護を行う労働者のみを対象とする」等、時間単位年休の取得目的により、対象労働者の範囲を限定することは出来ないのでご注意下さい。
②時間単位年休として付与する年次有給休暇の日数を、年間5日以内の範囲で定める必要があります。尚、前年度からの年次有給休暇の繰越しがあっても、当該繰越し分を含めて年間5日以内の範囲で定める必要があります。
③年次有給休暇1日分が何時間分の時間単位年休に相当するかを、貴社の所定労働時間を基に定める必要があります。その際、所定労働時間に1時間に満たない端数がある場合には、それを1時間単位に切り上げて計算します。(例:1日の所定労働時間が7時間30分の場合の時間単位年休は、30分切り上げて8時間分となる)
④時間単位年休の取得単位は特段の定めがない限り、1時間とされていますが、1時間以外の時間を取得単位(2時間・3時間、等)とする場合には、その時間数を定める必要がありますのでご留意ください。1時間未満(例:30分)を取得単位にはできないので、ご注意ください。

<補足事項>

上述の通り、時間単位年休の導入は、社員の柔軟な働き方の実現や年次有給休暇の取得率の向上に繋がると考えられます。一方で、会社としては、就業時間中の中抜けが発生し、就業管理が煩雑になるといったデメリットもございます。また、精算期間内での繁閑に応じ、労働者自らが労働時間を調整することが出来るフレックスタイム制度とは違い、時間単位年休は時間外労働の削減効果は薄いと考えられます。社員の柔軟な働き方の実現という面では、時間単位年休だけではなく、フレックスタイム制度や、時差勤務制度の導入も有効な方法となっていますので、貴社の実態に合わせて導入をご検討ください。

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2018年3月
退職者の年次有給休暇の取り扱いについて

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Q

一か月後に退職を予定している社員から、「これからの1週間(5営業日)は通常通り勤務をし、残りの約3週間(15営業日)は年次有給休暇を消化したい」との申し出がありました。1週間の勤務では後任への業務の引継ぎが間に合わない為、会社としては、退職予定日までの最後の1週間(5営業日)に限って、年次有給休暇の取得を認めたいと考えております。業務に支障がある場合には、社員の年次有給休暇の取得予定日を会社が変更しても良いと聞いたことがあるのですが、このような対応で問題はないでしょうか。

A

社員からの年次有給休暇の申請を会社が拒否することは出来ないため、社員から申請された年次有給休暇については日数の短縮等も認められず、全て取得させる必要がございます。一定の要件に該当する場合には、会社は年次有給休暇の取得時季を、社員から申請された時期とは別の時季に変更する権利を有しますが、今回の場合には適用されません。

<基本事項>
労働基準法第39条で、年次有給休暇は労働者が指定する時季に与えることとされています。ただし、労働者から指定される時季に年次有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、使用者は、その時季を変更する権利を有しています。これを時季変更権と呼んでいます。ただし、会社が時季変更権を行使したとしても、労働者からの年次有給休暇の申請を拒否できるのではなく、あくまでも労働者から指定された時季とは別の時季に年次有給休暇を与える必要がございます。
「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その労働者の担当する作業の内容、その労働者の所属する事業所における作業の繁閑、代行者の配置の難易度等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものとされています。さらに使用者は、労働者が指定した時季に年次有給休暇を取得できるように、相応の配慮をすることが求められており、常態として業務が忙しい場合や、慢性的に人手が足りていない場合には、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当しないと考えられます。
また、退職予定の労働者が、退職予定日の直前の期間を指定して年次有給休暇を申請した場合は、それが「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当し、会社が時季変更権を行使しようとしても、労働者が指定した時季とは別の時季(=退職予定日以降)に年次有給休暇を与えることは実質的に不可能であり、退職予定日を超えた時季変更権の行使はできないとされています。

本件の場合

本件について、上述の通り会社は時季変更権を行使することが出来ないので、原則として当該社員からの年次有給休暇の申請を全て認めることになります。
仮に、後任への業務の引継ぎを理由に、どうしても当該社員に出勤してほしいという場合には、本人にその旨を説明し、退職日を遅らせることや退職時に未消化の年次有給休暇を買い上げることを提示する等、当該社員と個別に交渉の上、あくまで当該社員が任意に引継ぎに必要な日数を出勤するように、同意を得るよう努めることとなります。
※ 会社による年次有給休暇の買い上げは、基本的には金額設定等によらず労働基準法違反となりますが、例外的に、退職時に未消化分の年次有給休暇を買い上げることは認められています。
また、今後このような事態が発生しないためにも、会社として以下のようなことについてもご検討ください。
① 社員の年次有給休暇の取得を促進し、退職時に多くの年次有給休暇の未消化分が発生しないように努める。
② 就業規則に「退職にあたっては、所定の引継ぎを完了させなければならない」という趣旨の記載をし、退職時には業務の引継ぎを滞りなく行う必要があることについて、社員に意識付けをする。

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2018年2月
派遣社員の派遣可能期間

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Q

弊社では複数の派遣社員が働いているので、2015年9月に労働者派遣法が改正され、一人の派遣社員につき同一の組織単位で起用できる期間の上限が3年になったということは認識しています。弊社における派遣社員期間上限の3年が近くなってきているのですが、同一の派遣社員について、同じ事業所の中でも異なる組織に異動させることが出来れば、引き続き同一の事業場で派遣社員として活用出来るという認識で間違いないでしょうか。もしくは、必ず正社員として雇用しなければならないのでしょうか。

A

派遣労働者の個別単位での派遣可能期間は3年が上限で、同じ派遣社員を同一組織で3年以上派遣社員として起用することはできませんが、必ずしも正社員として雇用しなければならないものではございません。また、同様に事業所単位の期間上限も3年ですので、こちらも併せて対応頂く必要がございます。

<基本事項>
労働者派遣法は、労働力が求められる場所へ労働者を派遣することで労働力を適正に供給し、かつ派遣労働者の雇用の安定や福祉の増進など、派遣労働者の保護を目的とするものです。
2015年9月に労働者派遣法が改正され、派遣社員が同一の組織単位で働ける期間が3年に制限されました。ただし、以下の場合には、当該期間上限が適用されません。
(1) 当該派遣労働者が派遣元企業で無期雇用されている場合
(2) 当該派遣労働者が60歳以上の場合
(3) 一定の期間内で当該業務が完了することが予定されている場合(事業の開始、廃止等)
(4) 1ヶ月の業務日数が10日以下である場合
(5) 派遣先で、産前産後休業、育児休業、介護休業を取得する労働者の業務を担う場合
これらの場合は、例外として3年の上限がありませんので、当該派遣社員の該当有無についてご確認ください。
期間上限が適用される派遣社員の対応については以下の選択肢が考えられますので、個別に対応方法をご検討ください。
●派遣元企業に当該派遣社員の直接雇用を申し込む。(この場合、期間の定めのある契約社員等としての雇用も可であり、必ずしも正社員と同じ雇用条件にする義務はない。)
●当該派遣社員を別の組織に異動させる。
●自社での起用を終了し、別の派遣先を紹介する。
次に、事業所単位での期間制限についても対応が必要です。本改正では、同一の事業所で3年を超える期間継続して労働者派遣を受けることが禁止されたため、2015年9月以降継続して派遣社員を雇用している企業については2018年9月に事業所の派遣可能期間の制限を受けることとなります。引き続き当該事業所で派遣社員の受け入れが必要な場合は、当該期間制限に抵触することとなる最初の日の1か月前の日まで(意見聴取期間)に、過半数労働組合もしくは従業員代表に意見を聞くことにより、3年を上限として派遣可能期間を延長することが出来ます。3年後に更に延長する場合も、同様の手続きが必要です。

本件の場合

まず、当該派遣労働者が個人単位の派遣可能期間の制限を受けない場合は、同一組織で3年を超えて継続起用することが可能です。制限を受ける場合は、既にご検討頂いている通り、組織を越えて異動させることで継続して起用することが可能です。また、事業所単位でも、上述の意見聴取期間に意見聴取を実施し、派遣可能期間を延長することが併せて必要になりますのでご対応ください。
当該派遣法の改正には、一定年数働いた戦力を派遣先企業で直接雇用することを促し派遣労働者の雇用安定を図る意図があります。正社員雇用以外にも、契約社員・嘱託社員としての雇用や新たな派遣先の紹介という選択肢もあります。また、当該派遣社員が派遣元企業で無期雇用になった場合は、派遣可能期間の上限は適用外となり、貴社にて派遣社員として継続起用が可能です。上述した法令趣旨と貴社の現状を踏まえ、対応をご検討ください。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

2018年1月
常時50人以上の労働者を使用する事業場での安全衛生管理体制

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Q

弊社の従業員数は、派遣社員を含め、まもなく50人を超える可能性が高くなっています。常時使用する労働者数が派遣社員を含め50人以上の場合、弊社の業種(通信サービス業、営業職・事務職のみ)であっても衛生管理者を選任しなければならないことを認識しているのですが、衛生管理者については、社内の従業員のなかから指名さえすれば、それ以上の対応は不要でしょうか。あるいは、指名にともなって行政関連の手続等が必要でしょうか。

A

衛生管理者は、当該事業場に属して勤務する労働者のなかで、労働安全衛生法12条1項で定められた資格を満たす者から選任し、遅滞なく選任報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。また、派遣社員も含め常時50人以上の労働者を使用する事業場では、安全衛生について、他にも対応が必要な事項がございます。

<基本事項>
衛生管理者は、労働災害を防止し、労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するという労働安全衛生法の目的を達成するために、一定規模の事業場ごとに選任するものです。
衛生管理者は、以下の免許又は資格いずれかを有する者のうちから選任しなければなりません。(労働安全衛生法12条1項)
(1) 都道府県労働局長の免許を受けた者
   (第1種衛生管理者免許、第2種衛生管理者免許※、衛生工学衛生管理者免許)
(2) 医師又は歯科医師
(3) 労働衛生コンサルタント
(4) その他厚生労働大臣の定める者 ※労働安全衛生規則第10条
   (保健体育教科についての学校教諭免許を有する者で、学校に在職する者、等)
衛生管理者は、その事業場に専ら属して勤務する者を選任しなければならないため、当該事業場に上記資格を持つ社員がいらっしゃる場合、その方を任命頂き、遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出る必要がございます。上記資格を持っている社員がいらっしゃらない場合は、事業場が設置されているエリアによりますが、少なくとも月に1回は第1種衛生管理者免許および第2種衛生管理者免許試験が実施されておりますので、下記安全衛生技術試験協会のホームページをご確認頂き、衛生管理者免許取得を希望する社員自ら申し込みのうえ、速やかに資格の取得をしてください。
●安全衛生技術試験協会ホームページ:http://www.exam.or.jp/index.htm
このようにして選任された衛生管理者は、衛生に係る技術的業務の管理を担い、少なくとも毎週1回作業場を巡視し、従業員に対し有害のおそれがあるときは直ちに必要な措置を講じ、労働災害防止のために努めることとなります。
その他、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、安全衛生管理体制について、対応が必要な事項があります。
まず、上述の衛生管理者の選任だけでなく、産業医の選任および衛生委員会の設置が必須となります。衛生委員会は、選任した衛生管理者や産業医を委員として指名し、毎月1回以上開催し、議事録を3年間保存するよう定められています。また、従業員の定期健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長へ報告書を提出することも必要となります。
ちなみに、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場でも、衛生推進者(もしくは安全衛生推進者)の選任が必要です。衛生管理者と異なり、衛生推進者を選任しても労働基準監督署長への報告義務はありませんが、当該衛生推進者の氏名を関係労働者に掲示等の方法で周知させなければなりません。
常時雇用する労働者数が50人を超えるか否かにより、事業者が対応しなければならない項目の数は大きく異なりますが、労働安全衛生法第1条に法令の目的として記載されている「労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成促進」は、常時雇用する労働者が50人未満の事業場であっても求められていることに変わりはありません。
更に補足となりますが、常時使用する労働者数が200人を超える場合は2人以上の衛生管理者を選任しなければならず、常時1,000人を超える労働者を使用する事業所では少なくとも1人を専任とする義務があるなど、労働者の人数に応じて選任数等対応も変わりますので、都度確認が必要です。

本件の場合

貴社の場合、業種や常時使用する労働者数から、衛生管理者の選任が必要となることはご認識の通りですが、選任対象となりうる社員には上述の通り条件がありますので、当該事業場のなかで上述の資格を満たす社員から選任してください。また、常時50人以上の労働者を使用する事業場には、上述の通り、衛生管理者の選任以外にも安全衛生管理体制として必須となる項目がありますので、漏れなく対応頂けますようご確認ください。

(過去の関連記事)
【Q&A】安全衛生管理体制(管理者の選任)について

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。


2017年

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2017年12月
割増賃金の算定基礎に含む手当

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Q

弊社では現在、賃貸住宅に居住している社員に、居住している賃貸住宅の賃貸料に定率を乗じた金額を住宅手当として支給しています。この度、総務での管理負荷低減や支給有無に関する持家居住者の不公平感解消のため、上記住宅手当の廃止を検討しましたが、手当そのものの廃止には社員からの反対意見が強いこともあり、全社員一律に、「賃貸住宅居住者には2万円、持ち家居住者には1万円」を支給するという内容へ変更することとしました。住宅手当は、労働基準法上の「割増賃金の基礎となる賃金から除外できるもの」に含まれているため時間外手当の算定基礎に含めておりませんでしたが、当該制度変更後の住宅手当についても、このままの対応を継続して良いでしょうか。

A

「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できるかどうかは手当の内容により判断されます。制度変更後の住宅手当は除外できる賃金に当てはまらないため、時間外手当の算定基礎に含めなければなりません。

<基本事項>
使用者は、従業員に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。割増賃金額は、月の所定賃金額を1ヶ月の平均所定労働時間数で割った「1時間当たりの賃金額」に所定の割増賃金率を乗じて算出された金額に、発生した時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数を乗じて計算します。この「月の所定賃金額」には、基本給だけでなく、役職手当やインストラクター手当など、毎月固定的に支払われる各種手当を含む必要があります。そのなかで、以下の手当については、労働と直接的な関係が薄く、個人的な事情に基づいて支給される賃金であること等を理由とし、月の所定賃金額から除外することができます。
① 家族手当
② 通勤手当
③ 別居手当
④ 子女教育手当
⑤ 住宅手当
⑥ 臨時に支払われた賃金
⑦ 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
これらの手当は「除外できる手当の例」ではなく、限定的に列挙され、労働基準法施行規則第21条に規定されているものですので、これらに該当しない賃金は全て算入しなければなりません。
また、①~⑤については、これらの名称であれば全て割増賃金の基礎から除外できるというものではなく、その内容が個人的事情(家族の人数や居住地など)に基づき金額が算定される手当である必要があります。たとえば、通勤手当であれば、居住地から会社までの通勤ルートの定期券金額に応じた費用を支給する場合は算定基礎から除外できますが、実際の通勤距離に係わらず、一律に1日500円を支給する場合などは算定基礎から除外できません。

本件の場合

本件では、制度変更前の住宅手当は、各社員が実際に居住している住宅の賃貸料に一律の定率を乗じて手当の金額を決定しており、社員ごとの事情に応じて金額を設定しているため、割増賃金の基礎から除外できる賃金でした。一方、制度変更後の住宅手当は、社員全員一律に定額で支給されるものであり、割増賃金の基礎となる賃金から除外できる賃金に当てはまりません。算定基礎が正しく設定されておらず割増賃金が不足する場合、割増賃金の請求権が有効な2年間について、再計算のうえ遡及して支払う対応を求められる場合があります。新たに手当を設定したり、既存の手当の内容を見直す際には、割増賃金の算定基礎になるかどうかを精査し、制度移行を進めることが必要です。

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2017年11月
地域限定職の新設

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Q

弊社は全国に事業所を有しており、現行制度の総合職は全員、全国転勤の可能性があります。近年、転勤を望まない若手社員や、親の介護などで転勤を拒む中堅社員が増えており、地域限定職の新設を検討し始めたのですが、弊社の状況として、事業所ごとの業務量が年によって異なり、社員の異動で調整しているという実態があります。その為、勤務場所を完全に限定し、事業所間の異動をまったく認められないとすると、業務上不都合が発生するのではと心配です。どのように制度設計すべきか、アドバイスを頂けますでしょうか。

A

「地域限定職」の制度は、必ずしも事業所限定とするのではなく、事業所間の異動を一定範囲で行う設計も可能です。事業所数や所在地、近隣の事業所間での異動の発生有無など、個社ごとの実情を踏まえ、運用しやすい制度を設計することをおすすめします。

<考えられる定義の例>
「総合職」と区別した「地域限定職」の定義として一般的な例を、以下の通り3種類ご紹介いたします。
1.事業所を限定して勤務する者
「事業所限定採用」と呼ばれることもあり、特定の支店・事業所で雇用され、当該社員のその他の勤務場所への異動は想定されません。近隣の勤務場所含め、全く異動がない前提ですので、社員にとっても分かりやすくシンプルな制度です。勤務場所が限定された雇用契約ということで、事業所の移転や閉鎖などが頻繁に発生する会社では雇用の保障が困難で、運用の難易度が高いといえます。
2.「転居を伴う勤務場所の変更」の対象とならない者
近隣の事業所間の異動対象にはなるものの、転居を要する、自宅からの通勤が不可能な遠隔地への異動は想定されません。比較的近いエリア内に複数の勤務場所を持つ会社では馴染みやすく、転居に抵抗のある社員に受け入れられやすい制度です。但し、社員にとっての利便性を考慮すると、異動先の事業所が当該社員にとって転居を伴わず異動可能な事業所かどうかの判断を行う必要があるため、通勤時間や距離による基準の設定や、当該社員の住んでいる場所等に応じた個別の検討を行う必要があります。
3.異動範囲が会社の定める地域に限定される者
全国転勤は想定されないものの、会社が設定したエリア内(例:関東エリア/関西エリア/…、あるいは「○○支社管轄エリア」等)であれば、転居を伴う異動の可能性が考えられる制度です。エリア設定について会社の自由度が高く、また、地元を遠く離れない転勤であれば許容できる、という社員にも有効な制度です。但し、全国転勤可能な社員についてエリアを超えた異動があまり生じておらず、「総合職」と「地域限定職」の転勤範囲に大きな差がないといった実態がある場合、「地域限定職」を選択する意義を感じにくいということが考えられます。

本件の場合

貴社の場合、事業所間の異動の発生が前提となるため「1.事業所限定採用」は馴染まないと思われます。「2.転居を伴う勤務場所の変更の対象としない者」や「3.異動範囲が会社の定める地域に限定される者」について検討する際には、異動可能な勤務エリアをどう設定するかなど、社員の希望や実情を把握したうえで、なるべく多くの社員が働きやすく勤務が継続しやすい制度をご検討ください。

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2017年10月
従業員の副業・兼業

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Q

弊社で雇用している社員から、定年を前に副業を開始し、セカンドキャリアの形成を始めたいという相談を受けました。副業の内容は、当該社員の長年の趣味を活かしたものであり、また、勤務日も休日をあて、本業には支障のない程度で検討しているとのことです。

弊社では、就業時間外の兼業は事前に申請し、許可を得られれば認められる規程となっておりますが、どのような基準で承認すべきなのでしょうか。

A

現在副業・兼業を禁止する会社が多いのは、過剰労働により本業の業務に支障が出ることや、秘密漏えい、競業による本業への損害を防ぐ目的があるからです。副業を認める場合は、主にその観点で問題がないか、確認すべきと言えます。

<基本事項>
上述の目的で、現在は就業規則等で副業・兼業を原則禁止とする会社が一定数存在しています。貴社のように、副業・兼業を許可制や届出制で認める旨定めている場合は、一般的に、社員が業務内容や勤務日数等を会社に報告し、会社が副業・兼業を認めるかどうか個別に判断する運用としており、判断基準としては主に以下が考えられます。
1.疲労等による本業への影響がないか(長時間・深夜の作業等)
2.本業と競業関係にあたる内容ではないか
3.会社の信用に悪影響を及ぼす内容ではないか
1.は、兼業による過剰労働や屋外作業等で疲労がたまったり、深夜勤務などで翌日の遅刻や欠勤が発生したりと、本業に差支えが出ることを防ぐことを目的としています。
2.は、競合企業において本業で知り得る情報等の不正利用が行われる等、会社が不利益を被る可能性を回避することを目的としています。
3.は、反社会的勢力との係わりや賭博業への従事、マルチ商材の取扱いなど、社員の副業が会社のイメージダウンや信用を落とすことに繋がり、結果として会社に損害が発生するリスクを避けることを目的としています。

ご質問の場合

本件の場合、ご本人が本業に影響がない範囲での勤務形態を想定しており、かつ業務内容も本業とは競業するものではないということですので、概ね問題ないかと見受けられますが、改めて情報確認のうえ、ご判断頂ければ良いかと存じます。

今後、定年を控えた社員に対し、セカンドキャリア開発を会社の再就職準備制度の一環として提供する等、副業・兼業を認める会社が増えることが考えられます。副業・兼業を認める場合は、本業の業務を円滑に遂行してもらうためにも、本業の就業時間内の副業業務を禁止(職務専念義務)することや、副業の業務内容が変更された場合は再度申請を行わせるなど、副業をする社員の労務状況について会社側で継続して管理していくことが必要になります。

本来、就業時間外での個人の活動は自由ですので、会社が理由もなく副業を全面禁止することはできませんが、上述の基準をもとに個別に判断を行うことで、会社の秩序バランスを維持しながら、社員の希望を尊重した対応をすることが可能になります。

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2017年9月
出張時の労働災害認定

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Q

弊社の社員が出張時、宿泊先のホテルの浴室で足を滑らせ転倒し、骨折してしまいました。

業務中の負傷ではないのですが、この場合は労働災害と認定されるのでしょうか。

A

今回のような状況は出張業務に当然付随する行為であり、私的・恣意的行為など特別な事情がない限りは業務上の災害として認定されます。

<基本事項>
業務上の災害とは「労働者の業務上の負傷・疾病・傷害又は死亡」のことであり、業務上と認められるためには、業務と当該傷病とのあいだに「業務起因性」が認められなければなりません。「業務起因性」が認められるためには「業務遂行性」が認めらなければならず、「業務遂行性」とは、具体的には以下が挙げられます。
① 事業主の支配・管理下にあって業務に従事している場合(例:業務行為、生理的必要行為、作業前後の準備行為等)
② 事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合(例:休憩時間等)
③ 事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合(例:出張、外出等)
出張は、上記③に当てはまる為、「業務遂行性」が認められます。
業務遂行性が認められたうえで、当該負傷が業務上の傷病であると判断された場合は、「業務起因性」が認められ、労働災害と認定されます。
ただし、出張中に歓楽街に赴くなど通常の経路を逸脱した場合は、私用・私的行為・恣意的行為であるとされ、業務遂行性が認められませんのでご注意ください。また、出張中に実家・親戚宅に訪問する等通常の経路を逸脱した場合も、出張先から実家・親戚宅を訪問している間は労働災害の認定対象外とされますが、ターミナル駅や最寄駅等、自宅に帰る通常の経路に戻った場合は再度認定対象となります。

ご質問の場合

本件の場合、出張先で入浴するために宿泊先のホテルの浴室を利用する行為は出張に当然付随するものであり、業務遂行性が認められます。また、当該入浴中の転倒による負傷であることから業務起因性も認められ、したがって労働災害が認められ、保険給付を受けることができます。ただし、入浴中の転倒が原因であっても、ホテルの浴室を使用せず、近隣の観光地で温泉施設等を利用した結果当該負傷が発生した場合等は、業務遂行性が認められず、労働災害が認定されない可能性があります。そのように通常の経路から逸脱した場合に発生した事故に関しても、社内で判断せず、まず労働基準監督署に申請のうえ、判断を仰ぐこととして下さい。

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2017年8月
改正育児介護休業法への対応について

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Q

2017年10月に改正育児・介護休業法が施行され、2歳まで育児休業の延長が認められるようになると聞きました。わが社の規程もこれに伴い修正する必要がある為、相談させてください。

わが社の現行規程では「1歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業を取得することができる。」と定めており、保育所等に入所を希望しているが入所できない等の事情がある場合に、「子が1歳6ヶ月に達するまでの間で必要な日数について育児休業を取得することができる。なお、育児休業の延長を開始しようとする日は、原則として子の1歳の誕生日に限るものとする。」として延長することを認めています。この「1歳6ヶ月」の部分を「2歳」に変更するだけで法改正への対応は問題ないでしょうか。

また、育児休業の延長を行うタイミングは「1歳の誕生日」のみとして良いでしょうか。厚生労働省の「育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]」では、2歳まで育児休業を延長する場合は1歳6ヶ月に達したときに申請を行うことになっていますが、これを省略し、1歳に達したときの1回の申請で2歳まで育児休業を与えられるよう規定しても良いのでしょうか。

A

今回の改正に対し、貴社で想定されている規程の文言の「1歳6ヶ月」を「2歳」とする変更で法改正への対応は問題ございません。申し出のタイミングについては、子が1歳6ヶ月に達した時点での2歳までの再度の育児休業延長申請手続きを省略し、1歳の誕生日から2歳までの育児休業を1回の申請で与えるよう規定することは法令違反とはなりません。

<基本事項>
育児・介護休業法では、子が1歳に達するまでの間、育児休業をすることができるとされ、保育園に入れない等特別な事情がある場合は、現行法では子が1歳に達したときに1歳6ヶ月まで延長の申請をすることが可能とされていました。
改正法では、1歳6ヶ月以後も特別な事情が継続する場合、育児休業から復帰し働く意思のある労働者がそれにより退職を余儀なくされる事態を防ぐことを目的とし、子が2歳に達するまでの再度の延長が可能とされ、個別の事情に合わせた期間の選択が出来るようになりました。

ご質問の場合

本件について、貴社現行規程では育児休業の延長を1歳6ヶ月まで認める内容となっておりますので、改正法に合わせ2歳までの育児休業を可能とする内容に変更する必要がございます。(もちろん、3歳までの育児休業を認める等、法律を上回る対応をすることも問題ありません。)
また、申請のタイミングは必ずしも数回に分けた規定とする必要はなく、頂いた変更内容で法改正への対応として問題ございませんので、改正育児介護休業法の施行までに規程を改定してください。

一方で、子が1歳に達したとき、1歳6ヶ月に達したとき、それぞれのタイミングで労働者から会社へ育児休業の申し出をすることが、本人の職場復帰の意思を相互に確認することができる機会になるとして、厚生労働省のモデル規程で推奨されています。また、本改正にあわせ、休職する労働者の事情やキャリアを考慮し早期の職場復帰を促すことは「育児休業等に関するハラスメントに該当しない」との内容で厚生労働省の「育介指針」も改正されました。休業を可能とする一方で、会社が労働者のキャリア形成についてサポートすることの必要性にも着目されています。職場復帰を希望する労働者が、できる限りキャリアに関する不安を軽減し、気持ちよく職場復帰できるような会社としての仕組みの構築についても、宜しければご検討ください。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。

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