Question
当社では、法的な結婚とは異なる形態の同性カップルや異性カップルに対し、その関係を会社として認める「パートナーシップ制度」を導入し、法的な結婚と同様の法定外福利厚生を適用できるようにしたいと考えています。同性カップルや異性カップルの事実婚を確認するために必要な提出書類としては、どのようなものが適切でしょうか。
Answer
法定福利厚生に関しては各機関の指示に従って必要な認定書類を提出する必要がありますが、法定外福利厚生に関しては、どのような書類を認定書類とするかについて企業の裁量に委ねられています。法定外福利厚生を適用する場合の認定書類については以下の内容を参考に、企業内でご検討ください。
基本事項
(1)法定福利厚生・法定外福利厚生とは
福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。
法定福利厚生は、法律で企業から従業員に提供が義務付けられている福利厚生で、主に健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険、厚生年金保険等が該当します。
一方で、法定外福利厚生は企業が任意で設計し、従業員に提供することが可能な福利厚生で、慶弔見舞金、家族手当、住宅手当、特別休暇制度、資格取得手当等が該当します。
対応策
(2)法定外福利厚生を適用する場合の認定書類例
今回のケースのように法定外福利厚生を適用したい場合、どのような書類を事実婚の認定書類とするかについて、合理的に必要と考えられる範囲であれば、企業の裁量に委ねられています。一般的には以下のような書類が用いられることが多いと考えられます。
認定書類例:
①社会保険制度や公的機関での認定がある場合
- 健康保険証(健康保険組合発行)
- 自治体発行のパートナーシップ証明書
②上記の認定がない場合
- 住民票記載事項証明書(続柄欄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載あり)
- 住民票記載事項証明書(続柄欄に「夫(未届)」、「妻(未届)」と記載なし)に加え、以下のいずれかを提出:
- 挙式や披露宴の記録
- 連名の郵便物や公共料金の領収証
- 生命保険の保険証、公正証書等
(3)注意点
提出書類に基づき、事実婚関係の確認が必要な場合には、必要な範囲内で追加書類の提出を求めることは許容されます。ただし、認定書類について企業に裁量があるとはいえ、必要性や合理性がないまま詳細な追加提出を求めることは、従業員のプライバシーを侵害する可能性があり、問題となる場合があります。例えば、交際の経緯や私的な写真の提出を求めることは、プライバシー侵害となる可能性があります。
提出を求める書類の範囲は、合理的かつ必要最低限に留めてください。
<まとめ>
法定外福利厚生の適用にあたり、どのような書類で事実婚を認定するかについては企業内で検討・決定する必要があります。その際、従業員のプライバシー侵害に十分配慮しながら運用することが重要です。
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※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。