Question
私傷病により従業員が休職しており、休職期間中は給与を支給していませんが、社会保険料は引き続き発生しています。社会保険料の本人負担分はどのように徴収すればよいのでしょうか。また、傷病手当金から控除することは可能でしょうか。
Answer
休職中で給与支給がない場合であっても、被保険者資格が継続している限り、社会保険料の本人負担分は発生します。そのため給与から控除できない場合は、本人による振込や会社による立替精算等の方法で徴収する必要があります。
また一定の手続きを踏まえたうえで、傷病手当金を活用して社会保険料相当額を徴収する運用を行う企業もありますが、事前の同意取得が重要となります。
<休職制度とは>
傷病その他の事由により従業員が通常どおり就労できない場合に、一定期間就労への従事を免除する制度です。なお、休職制度そのものは企業への導入が義務付けられているものではなく、就業規則や労働協約等に基づいて各企業が任意に設ける制度です。
<休職中の給与、社会保険料の取り扱い>
私傷病による休職の場合、従業員による労務提供が行われていないことから、就業規則等に特段の定めがない限り会社に賃金支払義務はありません。
一方、社会保険については、休職期間中に給与支給がない場合であっても被保険者資格は継続するため、会社負担分・本人負担分双方の社会保険料が発生します。
なおここで言う社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、加えて従業員が40歳以上の場合は介護保険を指します。
<傷病手当金とは>
傷病手当金は、業務外の事由による病気やけがのために会社を休み、十分な報酬を受けられない被保険者とその家族の生活保障を目的とした制度であり、待期期間3日を経過した後の4日目から支給対象となります。
<今回のケースについて>
ご質問のケースでは休職中に給与支給がないため、会社として別途本人負担分の社会保険料を徴収する方法を定める必要があります。一般的には以下3つの対応が考えられます。
①本人から毎月社会保険料相当額を振込してもらう
毎月会社が納付した社会保険料の本人負担分を従業員へ請求し、本人から会社口座へ振り込んでもらう方法です。この場合、振込期限や振込先を明確にし、休職開始時に確認文書を取り交わすことが望ましいでしょう。
②会社が本人負担分を一時的に立て替える
従業員の当面の経済的負担に配慮し、会社が本人負担分を一時的に立て替え、復職後の給与から精算する方法もあります。ただし、休職期間が長期化した場合や復職前に退職となった場合には未回収となるリスクがあります。
③傷病手当金から控除する
傷病手当金は本来被保険者本人に支払われる給付ですが、本人の同意を得た上で、社会保険料相当額を控除することも可能です。なお社会保険料は本来労使協定や本人の同意がなくとも給与からの控除が認められていますが、傷病手当金からの控除は想定されていないため本人同意を取得する必要があります。なお個別性が高い事案のため、同意取得においては労使協定より対象者と個別の同意書を締結することを推奨します。
<まとめ>
休職中で給与支給がない場合であっても、健康保険料や厚生年金保険料の本人負担分は発生します。そのため、本人振込、会社による立替精算、傷病手当金の活用等、自社に適した徴収方法をあらかじめ定めておくことが重要です。特に休職開始時に社会保険料の負担方法や精算方法を明確に説明し、本人同意を徹底することが円滑な運用につながります。
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