Question
社員のスキル向上やキャリア形成意欲の高い人材獲得のため、副業の導入を検討しています。その際に検討すべきポイントや留意点について教えてください。
Answer
副業・兼業は社員のスキル向上や人材の獲得につながる仕組みであり、容認する企業が増えています。導入にあたっては、副業・兼業の内容を確認する仕組みの整備や労働時間の管理等に留意する必要があります。
<副業・兼業とは>
副業・兼業は、現在の主たる勤務先での業務以外に収入を得る目的で行う仕事全般を指します。労働時間外の時間の使い方は基本的に労働者の自由であることから、厚生労働省より原則容認することが適当との方針が示されています。加えて、少子高齢化による労働人口の減少や人材不足を背景に、国として副業・兼業を通じたスキル循環や所得向上を促進しています。
副業・兼業の導入により、社員のスキル向上やキャリア形成意欲の高い人材の獲得が期待されます。社員にとっても、現職を離職せず新たなスキル習得や人脈形成、所得の増加が望めます。一方、会社側には労働時間や健康管理の手間の増加、社員の自社業務への専念度低下、企業秘密漏洩等のリスクがあります。
<副業・兼業導入時のポイント>
1. 副業・兼業の把握とリスク管理
副業・兼業は、裁判例により以下のような場合において禁止または制限が認められています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
こうしたリスク低減のため、届出制にする等会社が副業・兼業内容を把握できる仕組みを設けることが望ましいです。加えて、制限事由は就業規則に明記する、あるいは申請書の誓約事項に含めることをお勧めします。
2. 労働時間の管理方針の明確化
労働者が雇用される形で副業・兼業を行う場合、原則自社と副業・兼業先の労働時間を社員からの申告に基づき通算して管理する必要があります。通算した結果、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える部分は時間外労働となり、後から労働契約を締結した企業が自社の36協定の範囲で割増賃金を支払います。ただし、他社の労働時間を都度把握する負担が大きいため、厚生労働省は簡便な管理方法として「管理モデル」を推奨しています。
「管理モデル」では、先に自社(先契約)の法定労働外時間と副業・兼業先(後契約)の労働時間の合計が、時間外労働の上限規制である単月100時間未満・複数月平均80時間以内となる範囲で、各事業場の労働時間の上限を設定します。そのうえで、副業・兼業先は自社での労働時間全体を法定外労働として割増賃金を支払うことで、他社の実労働時間を都度把握することなく労働基準法を遵守できます。
なお、健康確保のための通算管理の考え方は維持しつつ、割増賃金の支払いに関する通算は不要とする方向で、2027年前後での法改正が検討されています。
3. 社員の健康管理の実施
副業・兼業を行う社員と日ごろからコミュニケーションをとり、長時間労働の兆候等を把握したうえで、健康確保に必要な対応(健康保持のための自己管理の指示、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝える等)を行うことが大切です。
<まとめ>
会社側・社員側の双方にとって有益なものとするため、副業・兼業の導入時は業務内容の確認を行う仕組みや労働時間の社内ルールの整備、また社員の健康管理を行うことが重要です。
<参考(2026.07.13閲覧)>
厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドライン
000962665.pdfPDF
厚生労働省:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレット
000996750.pdfPDF
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※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。