Question
ストレスチェックの実施にあたり、当社で対象者を絞ってから、委託事業者に調査票の作成を依頼して受検に至るまで、2ヶ月程度の準備期間が必要となります。法令上、ストレスチェックの対象者要件に「常時使用する労働者」とありますが、受検期間直前や途中に入社する中途採用者がいる場合、準備が間に合わないため翌年度の受検としても良いでしょうか。
また、パート・アルバイトは対象外でしょうか。
Answer
法令上は、入社後何ヶ月経ったらストレスチェックを受検させるべきかについて規定はありませんが、労働基準監督署では「試用期間明け」「入社6ヶ月後」などと社内ルールで取り決めて対象者を規定してよいと判断しています。
また、パート・アルバイトであっても、法令上の要件を満たす場合は受検対象となります。
<基本事項>
「常時50人以上の労働者を使用する事業場」には1年以内ごとに1回、定期的にストレスチェックの実施が義務付けられています。この場合の「労働者」には、パート・アルバイトや派遣労働者も含まれます。そのうち、企業が受検させる義務を負う対象は
- ① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者ならびに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者および1年以上引き続き使用されている者を含む)であること
- ② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること
の2つを満たす労働者です。
上の要件①②を満たす労働者を中途採用する場合、本来は他の対象者と同様に受検させることが望ましいですが、準備期間の都合上難しい場合は、入社後の期間により対象者を区分することが考えられます。法令上は、入社後何ヶ月経ったらストレスチェックを受検させるべきかについて規定はありませんが、労働基準監督署では「試用期間明け」「入社6ヶ月後」などと社内ルールで取り決めて、それに従って対象者を規定してよいと判断しています。
また、パート・アルバイトの労働者についても、要件①②を満たす場合には、企業がストレスチェックを受検させる義務を負います。
なお、厚生労働省労働基準局によれば、要件①のみを満たし②を満たしていない場合でも「1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者」についてはストレスチェックを実施することが望ましいとされています。集団分析の正確性向上や労働者の公平な取り扱いという観点からは、要件を満たしていない労働者に対しても、社内ルールで対象者に含めて実施することを検討するのが良いと考えられます。
<今回のケースについて>
ストレスチェック制度に関しては、厚生労働省から法律に沿ったガイドラインが示されていますが、企業によって様々なケースが想定されるため、事細かに定義はされていません。よって、法律の範囲内で、あらかじめ社内で運用ルールを定めておくことが重要になります。
今回のようなケースでは、対象となる勤務期間について社内ルールを定めていることが分かるよう、社内のガイドライン等に「入社後〇ヶ月以内は対象外」といった記載をしておくとよいでしょう。また、法令上の要件を満たさない労働者を実施対象とする場合にも、社内のガイドラインへ記載をしておくと、結果集計の際などに分かりやすいです。そして、社内ルールについて、労働者に周知しておくことが重要です。
※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。