人事・労務Q&A

リファラル制度におけるインセンティブの支給について

Question

当社では、採用活動の難航という課題を抱えており、それに関連してのご相談となります。

実は、採用活動を実施しても採用候補者がなかなか集まらず、加えて、せっかく入社しても会社に合わず、短期間で退職してしまうことが続いています。

そこで、社員の知人・友人を候補者として紹介してもらう制度を導入したいと考えています。

また、社員から優秀な人材を紹介してもらえる可能性を上げるため、紹介してくれた応募者が入社した場合に、紹介してくれた社員に対してインセンティブも支給したいのですが、それは可能でしょうか。

Answer

採用候補者を紹介してくれた社員に対してインセンティブを支給することは可能ですが、支給額が高額にならないよう留意する必要があります。

<基本事項>

求人活動により広く応募者を募るのではなく、社員から知人・友人で、自社に合う人材を紹介(推薦)してもらう採用手法を、「リファラル採用」と言います。

リファラル採用は、以下のようなメリットがある採用手法と言われています。

  • 求人サイトや人材紹介会社を利用した場合と比較して、募集・採用に係るコストや時間を削減できる
  • その人物をよく知った社員から紹介を受けられるので、適性・能力がある人材を採用できる可能性が高い
  • 採用候補者は、予め会社や仕事のことを紹介者である社員から聞いているので、会社に早く適応し、定着率が高くなると考えられる

一方で、社員からの紹介に頼る制度でもあることから、リファラル採用を狙い通りに運用するためには、多くの社員が協力したくなるような仕組みを作る必要があります。

<紹介者に対するインセンティブの支給>

社員が協力したくなるような仕組みとして、社員が紹介した人が入社に至った場合に、インセンティブを支給している会社もあります。

但し、職業安定法第40条では、社員の募集に従事する者に対して、給与やそれに準ずるもの以外の報奨金を支払うことは禁じられています。紹介者である社員に対して支給するインセンティブが、「給与」とは評価できないほどに高額であると、同法に違反していると判断され、紹介者である社員が無許可の人材紹介業を行っていると指摘される可能性があります。

インセンティブがどの程度の金額であれば、「給与」と認められるかという点については、明確な基準は示されていませんが、金額設定にあたっては、当該社員の業務全体の中で採用候補者紹介に関して支給すべき水準を検討した上で決定することが望ましいと考えられます。採用エージェントが公開している統計では、3万円~10万円程度の範囲で設定している会社が多いようです。

<補足>

上記の通り、インセンティブは「報酬」として支給することとなります。
支給のタイミング(採用候補者を紹介したら支給するのか、採用された時点で支給するのか等)や支給する金額については、予め設定し、その内容は就業規則等に定めておくべきと考えられる点、ご留意ください。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。