Question
今年度の途中で他社から在籍出向者を受け入れ予定です。年5日の年次有給休暇の取得について、出向元企業と出向先企業どちらが責任を負うのでしょうか。また、出向先企業が責任を負う場合は、出向元企業での取得日数に係わらず出向先で5日取得させるべきですか。
Answer
いわゆる在籍出向の場合、年次有給休暇に関する時季指定権および時季変更権は労働者と出向先企業にありますが、取得の義務付けられている5日の時季指定については出向契約で取り決めます。出向契約で取り決めをすれば、出向元企業と出向先企業で取得した年次有給休暇日数を通算することもできます。
<基本事項>
在籍出向の場合、出向元企業と労働者との雇用関係が継続しているとされるため、年次有給休暇は出向元企業の規定に基づき付与されます。出向元企業で新たに10日以上の年次有給休暇を付与される労働者には、出向の発生に係わらず年5日取得させることが求められます。
年度の途中で出向する場合には、既に出向元企業で取得した年次有給休暇と出向先企業で取得する日数を通算して5日とすることも、出向契約の取り決めにより可能となります。
また、労働者本人の自主的な取得に任せても付与後1年以内に年5日の取得ができないと想定される場合には、使用者に時季指定義務が生じます。出向者に関しても、特に年度の途中で他社へ出向したため残り期間が短く自主的に5日の取得が難しいと考えられる場合には、出向先企業にて時季指定をすることが望ましいです。
なお、休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、就業規則に記載が求められます。
厚生労働省の解説(p.7就業規則への規定)に記載例を参考に
- 時季指定の対象となる労働者の範囲
- 時季指定の方法
- 労働者が自発的に年次有給休暇を取得した場合は、当該取得した日数分を取得義務5日のカウントから控除するものとする旨
をご記載ください。
参考:「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/assets/img/salaried/000463186.pdfPDF
<今回のケースについて>
出向者の5日の年次有給休暇義務化に関しては、取得方法や管理責任について、予め出向契約書で取決めをしておくことが重要です。また、いずれにしても出向元企業と出向先企業の双方で在籍出向者の年次有給休暇の取得状況を管理しておくことが望ましいです。
※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。