Question
現在、転勤する社員に対してのみ社宅を貸与していますが、日本での住居を見つけることが難しいことから、新たに外国籍社員への貸与も検討しています。外国籍社員への貸与にあたって、注意すべき点はありますか。
Answer
外国籍社員への社宅貸与に係る主な注意点は、①貸与規程における日本国籍社員との公平性の担保、②入居時のトラブルです。
①貸与規程における日本国籍社員との公平性の担保
入居者資格や入居期間、物件の条件等、社宅に関する規程内容について、外国籍社員と日本籍社員の公平性が担保されている必要があります。国籍によって規程内容に差がある場合、合理的な理由が求められます。
【例:入居者資格を「外国籍社員と他の勤務場所に転勤を命じられた者」とする場合】
日本籍社員は「転勤を命じられた者」のみ適用される一方、外国籍社員は転勤の有無に関わらず、皆入居者資格を有するため、公平性があるとは言い難いと考えられます。この場合、公平性を担保するため、下記のように目的別に入居者資格を整理することが一案です。
- 「転勤を命じられた者」 :国籍によらず、転勤を命じられた社員への支援のため。
- 「国籍等の事由により物件の賃貸契約が難しい社員」 :例として国籍を挙げているが、何らかの事情で賃貸物件を契約できない社員への支援のため。
本例の場合、言語の壁がある・保証人が見つけにくい等、外国籍社員特有の事情で、日本での住居を見つけることが困難であることが、合理的な理由の一つとして考えられます。また、内規に「賃貸契約が難しい」場合の具体的な内容を記載することをお勧めいたします。
②入居時のトラブル
外国籍社員の入居時トラブルとして、契約書や規程の理解不足(例えば、使用料の金額や原状回復費用について知らなかった、無断で家族や友人と同居する)や、風習・文化の違いによるトラブル(例えば、ゴミ出しの曜日や分別ルールが守れていない、早朝や夜間の騒音)が考えられます。
対策として、入居時の契約書・規程の丁寧な説明や、生活上のマナー・入居者ルール等をまとめた外国語のマニュアル作成等が有効です。また、社宅使用誓約書といった、遵守事項が記載された書面を締結することで、さらなるトラブル抑制に繋がります。
<まとめ>
このように、貸与規程における日本国籍社員との公平性の担保、入居時のトラブル防止策を検討することがポイントと考えます。
※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。