人事・労務Q&A

フレックスタイム制における欠勤、遅刻・早退による賃金控除について

Question

当社では、清算期間を1ヶ月とするフレックスタイム制を導入し、コアタイム/フレキシブルタイムの区分も設けています。

今月、ある社員が出社しなければいけない日に出社しなかったり、コアタイムに遅刻したりするということがありました。一方で、この社員は、出社日に残業をしていたので、今月の実労働時間は、予め定めている「勤務しなくてはいけない総労働時間」を超えている状況です。

この社員の欠勤日やコアタイムへの遅刻について、賃金控除はどのように行えば良いでしょうか。

Answer

フレックスタイム制では、「清算期間中の実労働時間」が「清算期間の総所定労働時間」を超えていれば、1日単位での遅刻・早退や、欠勤による賃金控除はできません。

但し、評価に反映させたり、就業規則に基づいて制裁を行うということは考えられます。

<基本事項>

フレックスタイム制は、予め働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者が自由に決定することができる制度です。

フレックスタイム制における賃金清算は、「清算期間における総労働時間」と「実労働時間」との過不足に応じて行います。「実労働時間」が「清算期間における総労働時間」に満たない場合に、不足する時間分の賃金控除を行うことになります。一方、「実労働時間」が「清算期間における総労働時間」を満たしているのであれば、欠勤や遅刻・早退に伴う賃金控除は生じません。

<欠勤や早退・遅刻があった場合の対応>

上記の通り、「実労働時間」が「清算期間における総労働時間」を満たしているのであれば、欠勤や早退・遅刻があっても、賃金控除をすることはできません。

一方、賃金控除されないことで、欠勤や遅刻・早退に歯止めが利かなくなり、業務に支障が出ることも懸念されます。そのようなことに対する抑止策として、以下のような対応が考えられます。

  • 賞与や昇給等に結び付く人事考課の結果に反映する方法
  • 就業規則等に「正当な理由なく欠勤、コアタイムへの遅刻・早退をしてはならない」といった定めを設け、これに違反した場合に減給処分などの制裁を行う方法

<補足>

ここまで述べてきたように、欠勤やコアタイムへの遅刻・早退が常態化することを抑止するために、評価に反映する等の対応を行うことが考えられます。然しながら、フレックスタイム制について、社員が「いつを勤務日とするかも、労働者の意思で決定できる」といった誤った理解をしていることも考えられます。改めてフレックスタイム制の趣旨を説明をすることも必要と思われます。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。