Question
弊社では、企業戦略の浸透度や社員の意識やエンゲージメントを図るため、社員のエンゲージメントや組織風土を調査するサーベイを実施することにしました。 サーベイ結果をどのように活用したらよいか教えてください。
Answer
サーベイ結果を活用して、自社の強みや改善課題を特定し、必要なアクションプランを検討・実施しましょう。 社員にも結果を共有し、アクションプラン検討への参画や、プラン実施のためのタスクフォースへの参加を促すことも一案です。
<基本事項>
人材の価値を最大限に引き出すことで企業価値を向上させる「人的資本経営」が注目される昨今、エンゲージメント等を測定するサーベイを行う企業が多く見受けられます。 本記事では、サーベイ結果を受けて具体的に取るべきアクションを時系列でご紹介します。
① サーベイ結果をもとにした強みや改善課題の特定
まずは、サーベイ結果から読み取れる全体の傾向や組織別、属性別の傾向を把握します。 この時、肯定的回答率や否定的回答率にのみ着目するのではなく、設問間の連動傾向も確認し、どのような強みや課題があるか仮説を立てましょう。
また、課題特定のために追加のヒアリングやアンケートを行うことも考えられます。 特に組織別に顕著な傾向がみられる場合、組織長に対して原因の深堀のためのヒアリングを実施することが効果的です。 ただし、この際、回答者の個人を特定しないよう注意が必要です。
② 社員への結果共有とアクションプランの検討
サーベイ結果は、経営陣や人事担当者だけではなく、社員とも共有することが重要です。明確な課題がある場合、 アクションプランを検討する際に社員を参画させることも一案です。これにより、社員が当事者意識を持ちやすくなります。
また、否定的回答率が高く改善課題が多い場合でも、結果を共有しアクションプランを一緒に検討することで、会社として社員の意見を尊重している姿勢を示すことができます。
サーベイ結果を受けた課題特定やアクションプランは、例えば以下のような手順で検討します。
(教育・研修機会に関連するアクションプランの検討例)
・サーベイ結果:適切な教育機会の有無や研修時間の確保に関する設問の否定的回答率が高かった。特に、若手社員の否定的回答率が高い。ただし、人員確保の設問には肯定的回答率が高い結果が出た。
・追加ヒアリングや社員アンケートを踏まえた課題の特定:社内で提供されているe-learningサービスは、社員の属性や必要なスキルに応じた推奨講座が分かりづらく、 業務時間内で視聴しづらい雰囲気があると感じている社員が多いことが分かった。 また、若手社員からは、実践的な研修機会や海外派遣への興味が一定数あることも分かった。
・アクションプラン: e-learningサービスにおいて、属性やスキル別に推奨講座を選定し、上司と視聴プランを検討する。 また、就業時間内に、自由参加型の学習機会を毎週設け、その学びをシェアする制度を導入する。 加えて、育成目的で若手社員向けに海外出張機会を促進する方針を打ち出す。
③ アクションプランの実施に向けた体制・スケジュール管理
検討した各アクションプランに対し、それぞれの効果やコストの観点から優先順位をつけ、社内で取り組む体制を決めます。 社員が中心的に取り組むことのできるアクションプランについては、タスクフォースを立ち上げる等して経営と社員が一体になって取り組むことも一案です。 また、具体的な取り組みスケジュールを設定し、進捗を管理しながら共有し、実現に向けた取り組みを社員に示すことが重要です。
④ 定期的なサーベイの実施
サーベイは定期的に行うことで、その時の会社の状況を把握し、アクションプランの効果を図ることができます。 定点観測として継続して実施することで、持続的な改善と成長を目指しましょう。
<まとめ>
サーベイ結果を活用して改善に向けた施策を策定・実行することで、次回以降のサーベイでアクションプランの効果や社員の意識向上につなげることができます。 社員と会社が一体となって取り組むことで、強みの維持や課題の改善の効果をより高めることが期待できます。
※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。