Question
物価高の影響などから世間の初任給がどんどん上がってきており、現在の水準では採用競争力が不十分のため初任給の引上げを検討しています。その際に検討すべきポイントや留意点について教えてください。
Answer
世間水準や消費者物価指数、競合他社との比較を行いながら妥当な初任給額を決定し、また初任給引上げによって現行社員との給与が逆転しないよう全体のベースアップを検討する必要があります。
基本事項
本記事では、初任給水準の検討方法と現行社員との給与バランスの調整方法についてご紹介します。
1. 初任給水準の検討
主に以下3点をもとに初任給額を検討し、仮置きします。
(1) 世間水準との比較
厚労省より公開されている賃金構造基本統計調査などの統計データや、ベンチマーク企業の初任給データをもとに初任給額を決定します。
(2) 消費者物価指数(CPI)を参照
物価上昇の影響も鑑みて初任給の引上げを行う場合は、総務省より公開されている消費者物価指数(CPI)も参考にし、前回の給与改定時期からの上昇分を初任給の引上げに反映させることも一案です。
(3) 競合他社との比較
競合他社の採用HPなどに掲載されている初任給と、自社の初任給水準に乖離が無いか確認します。
2. 現行社員との給与バランスの調整
初任給引上げに伴い現行社員との給与逆転が懸念されるため、全体のベースアップを検討する必要があります。その際、ベースアップの主な方法としては以下の通りです。
全社員に一律の割増率(基本給×●%)
全社員に一律の金額(基本給+XXXX円)
特定の層に厚く支給(上位等級になるにつれてベースアップを小さくし傾斜をかける 等)
3. 総人件費のシミュレーション
1,2で仮置きした初任給およびベースアップ額をもとに、賞与・時間外手当の増額も加味して年間の総人件費を算出します。恒常的なコストアップとなる為、どの程度の増額であれば許容できるのかを慎重に検討した上、最終的な金額を決定します。
<まとめ>
このように世間水準と照らし合わせて初任給額を決定し、また現行社員と給与が逆転しないよういくつかのベースアップ方法から貴社に合う方法で全体の給与バランスを調整していただくことがポイントと考えます。
<参考>(2025.3.5閲覧)
賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別(政府統計の総合窓口)
2024年度 決定初任給調査(産労総合研究所)
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/chinginseido/shoninkyu/pr2407.html
消費者物価指数(CPI)結果(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html
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