人事・労務Q&A

アルムナイ採用における実務上の留意点

Question

効率的な採用活動を行うため、退職者を再び採用するアルムナイ採用を検討しています。実務上の留意点を教えてください。

Answer

人材の流動化が進む中、アルムナイ採用が注目されています。会社にとってメリットが大きい採用手法とされており、 情報交換や将来的な採用に繋げる目的で退職者と緩やかに関係を維持する企業も増えています。 アルムナイ採用を行うにあたっては、在職者とのバランスを考慮した処遇の設計や退職時のコミュニケーション、 セキュリティ面などに留意する必要があります。

<基本事項>

アルムナイ採用とは、一度自社を退職した人材を再度採用することを指します。 最近はアルムナイ採用を取り入れる企業が増加傾向にあり、ミスマッチのリスクが低く、 即戦力としての活躍や採用・育成コストの削減が期待できる等、そのメリットが注目されています。 ただし、実施にあたっては、以下のような点に留意する必要があります。

<実務上の留意点>

・対象者の処遇は在職者とのバランスが取れているか

対象者の処遇は離職期間中に得た経験やスキルを評価して決定しますが、在職者とのバランスを欠いた処遇とならないよう留意しましょう。 高すぎる処遇は、在職者の不満やモチベーション低下を招くおそれがあります。

・退職者とのコミュニケーションは適切か

退職者が発生した際には、円満退職に向けて丁寧なコミュニケーションを取ることや退職理由を十分に把握しておくことが重要です。 これにより、退職者との良好な関係の維持や将来アルムナイ採用を行う際のミスマッチの防止・適切な配置が期待できます。 また、退職者に「退職しても必ず再雇用される」と誤解されないよう注意が必要です。 予めアルムナイ採用の選考対象者の条件(勤続年数、在職時の成績など)を明示しておくことも一案です。

・退職後の情報交換においてセキュリティ面の配慮ができているか

退職後の関係維持にオンライン上のプラットフォームを活用する企業もあります。 オンライン上で情報交換や採用情報の告知を行う場合には情報漏洩が発生しないよう、 セキュリティ対策や発信内容に関するガイドラインを整備しておくことが望ましいです。 また、退職者の個人情報の取り扱いにも注意しましょう。

・採用後の定着や活用に向けた取り組みができているか

自社での経験を前提とした即戦力としての期待が高い一方、離職期間に職場環境や人間関係にも変化が生じていることも多いため、 再び職場に定着できるよう支援を行うことが重要です。 また、離職期間に社外で得た経験を自社内でアウトプットする場を設けて社内に外部の知見を共有し、早期に貢献実感を持たせることも有効です。

<まとめ>

アルムナイ採用はメリットが大きい一方で、実務上は在職者とのバランスが重要となるなどさまざまな留意事項があります。 必要な対策を講じた上で、退職者と良好な関係構築を行い、効果的な採用活動にも繋げられるとよいでしょう。

※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。