Question
海外出張中、休日に私用一時帰国を希望している社員がいます。業務に支障なく、また出張前後の立ち寄りにも該当しません。
親族の慶弔等ではないようですが、一時帰国を認めて問題ないでしょうか。
認める場合、旅費は会社と本人のどちらが負担することが望ましいでしょうか。
Answer
出張期間中であっても業務時間外の過ごし方や過ごす場所は労働者に委ねられているため、原則として一時帰国を認めざるを得ません。
旅費は労働法上の規定はなく各企業が任意に定めているものの、今回のケースは私用かつ業務上必要な費用ではないと判断されるため、本人負担で問題ないと思料します。
<海外出張中の一時帰国の可否>
「休日」は労働義務がない日であり、労働法上、過ごし方や過ごす場所は労働者に委ねられると解釈されます。そのため、社員が出張中の業務時間外に私的行動をとることは勤務管理上も許容範囲であり、社員の一時帰国を止めることは難しいと考えられます。
ただし、以下のようなケースにおいては、渡航を制限することが適切な場合があります。
- 会社貸与のPC等について、自宅や事業所からの持ち出しを禁じているにもかかわらず、本人が持ち出しを希望する場合
- 訪問先の国・地域において、治安の悪化(例:テロ・デモ)、感染症の流行、自然災害等、渡航リスクがある場合
なお、比較的リスクが低い国・地域であっても、危機管理の観点から、会社側は社員の行き先を把握することをお勧めいたします。
また、海外出張中の一時帰国には、以下のようなリスクが伴う点にも注意が必要です。トラブルを避けるため、事前に労働者と確認することをお勧めいたします。
- 海外保険の費用負担
海外保険の付保期間であっても、一時帰国中の保険費用は労働者が負担することが望ましいと考えられます。 - 労災保険の適用
一時帰国中は労災保険が適用外であるため、事故等が発生しても労災保険給付を受けることができません。
<一時帰国時の旅費負担>
出張旅費や日当の支払要件に関する労働法上の規定はなく、各企業が任意に定めています。一方、今回のケースは私用かつ業務上必要な費用ではないと判断されることから、一時帰国に伴う旅費を会社が負担する必要はないと考えられます。
公平性担保と社員とのトラブル防止の観点から、社内で予め運用ルールを定めることをお勧めいたします。
<まとめ>
海外出張中の一時帰国は原則として認めざるを得ないものの、危機管理リスクを踏まえて判断することが重要です。
旅費負担時には帰国理由や業務上必要な費用に該当するかを検討することがポイントと考えます。
会社としては社員の滞在先把握等危機管理リスク防止に努め、保険や旅費等社員と事前に確認することをお勧めいたします。
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