Question
弊社では、国内出張時の宿泊料は、等級ごとに上限額を定め、その範囲で実費支給としています。 長年金額を見直しておりませんでしたが、昨今の物価上昇をうけて、上限額の引き上げや支給ルールの見直しを検討しています。検討すべき項目を教えてください。
Answer
国内の宿泊料は、コロナ禍に一時下落したものの、近年全国的に水準が引き上げられる傾向にあります。 統計水準や主要な出張先の相場を踏まえた上限額の引き上げ検討の他、行き先に応じた区分けや、役職や等級ごとの区分けがある場合にはその見直しの要否等も検討しましょう。
<基本事項>
本記事では、国内出張時の宿泊料の見直しに際して検討するべきポイントをご紹介します。
・支給額水準の検討
まずは市場の一般的な宿泊料推移を把握し、上限額をどの程度引き上げる必要があるのかを検討しましょう。 全国の一般的な宿泊料の推移は、例えば総務省が出している消費者物価指数のうち宿泊料の推移を把握することも考えられます。 また、より実態を把握するために、営業所・事業所がある都市別や主要な出張先別に、社員がよく利用するビジネスホテル等の宿泊料を確認しましょう。 引き上げ金額の設定に際しては、なるべく実費が上限額を超えるケースを抑えるため、一般的なハイシーズンの価格帯を確認したうえで上限額を引き上げることを推奨します。
・行き先に応じた区分けの検討
宿泊料の水準は、地域によって大きく異なる場合があります。 行き先によらず金額を一律で設定する企業もありますが、地域等に応じて宿泊料の上限を設定することも一案です。 区分けをする場合には、現行制度に縛られずに、必要に応じて区分け自体を見直す等フラットに検討することが肝要です。
・役職や等級ごとの区分けの検討
一般的には、宿泊する施設や部屋のグレードを役職によって変えられるよう、上限金額に差を設けている企業が多いとされています。 役職によって差を設けている場合には、実態に照らし区分けの妥当性を改めて見直しましょう。 特に、必要以上に細かい区分けになっている場合等は、区分けを統合し煩雑な運用を解消することも一案です。
・その他検討事項
上限金額の引き上げや設定方法の見直しを行っても、実際の宿泊料が支給額を超えてしまうケースは発生し得ます。 こうした場合の超過額の取り扱いについても自社内の取り扱いを改めて検討し、規程に反映しておきましょう。 一般的に、超過額は補填をしない企業が多いとされていますが、一定基準以上については支給する企業もあります。 例えば、時期によってあまりにも宿泊料の変動が激しい地域の場合等は、上長が承認した場合に超過額を補填する等の運用も考えられます。 また、定期的な見直しの目安についても内規を定めておくとよいでしょう。
<今回のケース>
今回は、宿泊料の推移を確認し全体的に1,000円~2,000円の引き上げを提案しました。 また、行き先はこれまで東京・それ以外の2区分で設定されていましたが、出張先の宿泊料の実態に照らし東京、事業所がある大都市、それ以外の地域の3区分に設定を見直すことを提案しました。 加えて、非管理職向けの区分けが等級別に細かく設定されていましたが、一部統一することを推奨しました。
<参考>(2025.1.10閲覧)
データセット(e-Stat 政府統計の総合窓口)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200573&tstat=000001150147&cycle=1&tclass1=000001150149&cycle_facet=tclass1%3Acycle&tclass2val=0&metadata=1&data=1
※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。