Question
有期雇用のパートタイム従業員として 3 年間勤務した後、無期雇用の正社員へ転換予定の 社員がいます。年次有給休暇の付与日数は継続勤務年数に応じて決まりますが、転換後は契 約社員としての勤務年数も通算すべきですか。また、パートタイム従業員期間に付与した年 次有給休暇は、転換後も有効なのでしょうか。
Answer
年次有給休暇の勤務年数には、転換前のパートタイム従業員としての勤務年数も通算する ことが求められます。また、パートタイム従業員に付与した年次有給休暇は正社員転換後も 有効です。
<基本事項>
年次有給休暇の付与は法令上、付与日の直前 1 年間の出勤率が 8 割以上の従業員が対象で す。所謂正社員だけでなく、1 年間の所定労働日数が 48 日以上のパートタイム・アルバイ ト従業員も対象となります。入社して最初の付与日は入社 6 か月を経過した日で、1 年を経 過するごとに継続勤務年数に応じた日数を付与します。
継続勤務年数に応じた付与日数は、参考のリーフレットをご確認ください。
継続勤務年数に応じた付与日数は、参考のリーフレットをご確認ください。 勤続年数については、パートタイム従業員から正社員へ雇用形態が変わっても、直接雇用が 継続している場合はパートタイム従業員としての勤続年数を通算します。よって、正社員化 後の最初の付与日はパートタイム従業員期間の最後の付与日から 1 年後までとし、付与日 数は 10 日ではなく継続勤務年数に応じた日数を付与しなくてはなりません。なお、形式上 は契約社員として退職手続きをした後に正社員として採用手続きを取る企業もございます が、実質的に雇用が継続しているのであれば通算すべきと見なされます。ただし、過去の雇 用契約終了が正社員転換のためのものでなく、正社員雇用までの期間が空いている場合は 勤続年数を通算する必要はありません。
また、正社員としての年次有給休暇の付与の有無にかかわらず、パートタイム従業員として 付与した年次有給休暇は付与日から 2 年間有効で、これは正社員転換の影響を受けません。
よって、正社員転換後も、パートタイム従業員期間に付与した年次有給休暇は付与日から 2 年以内であれば取得ができます。さらに年 5 日の取得義務も同様に正社員転換後も有効と なりますので、正社員転換後も既存の年次有給休暇はしっかりと管理する必要があります。
<参考>
「しっかりマスター労働基準法有給休暇編」東京労働局 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-
roudoukyoku/content/contents/000501862.pdf (2022 年 10 月 13 日閲覧)
「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdfPDF (2022 年 10 月 13 日閲覧)
<今回のケースについて>
雇用形態が変わっても、直接雇用の従業員として継続して雇用されている限りは、継続勤務 年数は通算して年次有給休暇を付与することになります。今回のケースでは、正社員転換後 の最初の年次有給休暇は、パートタイム従業員として入社した日から 3 年 6 か月を経過す る日までに 14 日以上を付与することが法令上求められます。
※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等 によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。