人事・労務Q&A

育児休業取得時期の変更や育児休業中の就労について

Question

男性社員が、子の誕生に伴い、6ヶ月程度の育児休業取得を希望しています。現在、その社員が担当している業務は、専門性が高く、特殊な内容です。会社としては代替要員の確保を進めるものの、かなり難航することが予想されます。代替要員が確保できるまでの間、育児休業取得を待ってもらうことは可能でしょうか。また、万一必要な人材が確保できない場合は、短時間だけでもよいので、その社員に育児休業中に就労してもらいたいと考えています。

Answer

社員本人が同意した場合は、育児休業取得時期の変更や、育児休業中の一時的・臨時的な就労は可能ではありますが、本人の希望通り取得させるのが原則となります。

<基本事項>

育児休業は、子が1歳(保育園に入園できないなど、一定の場合においては2歳)に達するまで、申出により労働者が休業できる制度であり、男女問わず取得できます。(ただし、日々雇入れられる者など、一部適用除外となる場合があります。)

育児休業中の就労は原則的には想定されておらず、短時間であっても、会社が就労を強制することはできません。ただし、社員が同意した場合に限り、以下の要件で就労が可能な場合があります。(なお、育児休業給付金の支給を受ける際には、一定の要件を満たす必要があります。

  • 子の養育をする必要がない期間であること。
  • 一時的・臨時的な就労であること。(恒常的・定期的な就労は不可)
  • 就労が月10日(10日を超える場合は、80時間)以下であること。

<育児休業取得時期の変更や育児休業中の就労について>

育児休業の取得は、男女を問わず、社員に認められた法令上の権利です。取得時期の変更や育児休業中の臨時的・一時的な就労は、社員側の同意が得られた場合に限り可能ではあるものの、会社が一方的にこれらを強制することや、同意しないからと言って不利益な取り扱いをすることは認められません。
会社としては、男性社員が育児休業を取得する可能性も十分あり得ることを見越して、早め早めの人員確保や人材育成の取組みを行っていくことが望ましいと言えます。

<補足>

令和元年度雇用均等基本調査によると、配偶者が出産した男性労働者に占める育児休業取得者の割合は7.48%(平成30年度は6.16%)となっています。男性の育児休業取得者は、依然として低い水準ではあるものの、増加傾向であると言えます。
また、次のように、男性の育児休業取得を後押しする制度も設けられています。

  • 父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2ヶ月に達するまでの間に、最大1年間の育児休業が可能。(パパ・ママ育休プラス)
  • 子の出生後8週間の期間内に一度育児休業を取得した場合は、特別な事情なしに、再度の取得が可能。(原則は、特別な事情がなければ1人の子につき1回)
  • 配偶者が専業主婦(主夫)であっても、育児休業の取得は可能。


※本記事の内容は、掲載日時点での法令・世間動向に則ったものであり、以後の法改正等によって最新の情報と合致しなくなる可能性がある旨ご了承ください。